株式会社取締役の辞任手続きの概要

会社設立ドットネットby行政書士法人MOYORIC
お問い合わせはこちらから
  1. 会社設立ドットネット TOP
  2. 取締役の辞任手続きについて

設立・変更サポート専用ダイヤル 050-5526-2602

【電話受付時間】AM10:00~PM6:00(平日)

取締役の辞任手続きについて【Q&A形式でわかりやすく解説】

当記事は、株式会社の取締役の辞任手続きについて詳しく知りたいという方に向けて、作成しています。

ご理解頂きやすいように、なるべく専門用語を使わずに、Q&A形式で解説をしておりますが、取締役が辞任する場合に必要となる手続きや必要書類、手続き上の注意点などはすべて網羅しておりますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

それでは、どうぞご覧くださいませ。

取締役の辞任手続き【目次(もくじ)】

自分で出来る!株式会社役員辞任キットのご案内

自分で出来る!取締役辞任キット12,600円

専門家が作ってるから安心!簡単!役員辞任キット

こちらのマニュアルでは、株式会社の役員(取締役&代表取締役)の辞任手続きに必要な書類一式の雛型を同梱しております。

穴埋め式ワードファイルと解説マニュアルがついていますので、一般の方でも楽々手続き完了!

代表取締役の辞任&入れ替えにも対応!役員辞任手続きをとにかく安く、早く、簡単に済ませたいという方は、当キットをご活用ください。

取締役の辞任手続きQ&A

取締役が辞任しました。どんな手続きが必要ですか?

取締役が辞任した場合は、辞任した日から2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ取締役変更の登記申請を行う必要があります。

取締役と会社とは民法上の委任契約の関係ですので、任期の途中であっても取締役はいつでも会社に辞任の意思表示をすれば、その時点で辞任の効力が発生します。

辞任した取締役の辞任届を添付し、管轄の法務局にて役員変更の登記申請を行います。

↑目次に戻る


取締役はいつでも辞任できるのでしょうか?

取締役が辞任するのに株主総会や代表取締役の承諾は必要ありません。原則としていつでも辞任することができます。

ただし、会社の不利となる時期にやむを得ない事由が無いにも関わらず、取締役を辞任した場合でも、会社に損害が発生した場合、その損害の責任を負わなければなりません。

不利な時期とは、辞任によって後任の取締役が必要となる場合に、その後任が見つからないような時期に辞任するような場合です。

通常は後任者が必要であれば人材を確保したり、業務の引き継ぎを行っていれば損害賠償請求を受ける可能性は少ないと思われます。

↑目次に戻る


取締役が辞任した後に登記をしていないとどうなりますか?

第三者に対して辞任したことを主張できません。

代表取締役は取締役から提出された辞任届をもって、法務局へ辞任の登記を行います。

もし代表取締役が法務局へ登記を行わなかった場合、会社に対しては辞任の効力が生じますが、辞任をしたことを知らない人(第三者)に対しては辞任したということを主張できません。

すでに辞任した取締役が対外的にミスを犯し、第三者に損害を与えた場合でも、辞任登記を行っていなかった場合、会社はその責任を負う必要が出てきます。

善意の第三者には対抗できないということになります。

辞任の登記は必ず行う必要がありますので、忘れずに行うようにしてください。

代表取締役が登記の申請を怠れば、過料の制裁を受ける可能性がありますので注意してください。

過料は会社ではなく代表取締役個人に請求が来ますので、経費・損金にもなりません。金額も100万円以下決して少なくはない金額です(100万円も来ることはほとんどありませんが)。

↑目次に戻る


取締役の辞任に際して株主総会を開催する必要はありますか?

株主総会を開催する必要はありません。株主総会の承認も不要です。

取締役の変更登記には株主総会の決議が必要だ勘違いをされている方は多いのですが、取締役の「辞任」に関しては、株主総会の決議は必要ありません。

もちろん、会社が自主的に株主総会を開催し取締役の辞任を報告すること自体は可能です。前述の通り、取締役と株式会社との関係は委任契約となります。

任期の途中であっても、辞任したい取締役はいつでも、会社(代表取締役)に意思表示をすることで辞任の効力が生じます。

この際、辞任する取締役は会社に辞任届を提出します。

↑目次に戻る


辞任届に押す印鑑は実印か認印どちらですか?

取締役の辞任届に押印する印鑑は、実印でも認印でもどちらでも構いません

辞任届には辞任する取締役の住所、氏名を記載して、押印します。

自署ではなく、記名押印でもいいのですが、書面の真実性を担保するために取締役の自筆で署名しておくのが賢明でしょう。後に何らかのトラブルがあった際も自署であれば書類の証拠能力が上がります。

あくまでも登記上は記名押印で足ります。

尚、代表取締役が辞任する場合の辞任届には、代表取締役個人の実印で押印し、その実印の印鑑証明書を添付する必要があります。

↑目次に戻る


取締役の辞任と同時に取締役を追加できますか?

はい、一回の手続きで同時に行えます。

辞任・追加する取締役が何人いても法務局では同時に手続きを行うことができます。

役員変更登記の登録免許税は1申請につき10,000円かかりますから、同時に申請できるのであれば、コスト削減の為に取締役の辞任、就任は同時に行う方がベターでしょう。

なお、取締役が辞任する際には、株主総会議事録は必要ありませんが、取締役を追加する場合は株主総会で決議を行いますので、株主総会議事録が必要になります。

《参考》株主総会議事録の書式・雛形(取締役の辞任、就任同時の場合) / 取締役の「追加」手続き

↑目次に戻る


代表取締役のみ辞任できますか?

はい、可能です。

代表取締役の地位のみを辞任して、平の取締役に戻ることができます。

ただし、会社の定款に代表取締役についての定めがあれば、その定めに従って他の取締役の中から新たな代表取締役を選任する必要があります。

例えば、取締役会非設置会社では代表取締役は、取締役の互選で選ぶと規定されている会社が大半ですので、改めて取締役の互選で代表取締役を選定し、代表取締役の辞任と合わせて役員変更登記申請を行います。

取締役会設置会社であれば、必ず代表取締役を置かなければなりませんので、取締役会の決議によって新しく代表取締役を選定することになります。

↑目次に戻る


弊社は取締役会設置会社です。今回、取締役が一人辞任することになりました。注意点を教えてください。

取締役会設置会社の場合、取締役の最低人数を下回らないように気を付けてください。

取締役会設置会社で、辞任により取締役の人数が3人を下回ってしまう場合は、新たに人数を満たす取締役が選任されるまで、辞任の登記はできません。

定款で取締役の最低人数を規定いしていて、その人数を下回る場合も同様です。

↑目次に戻る


弊社は取締役会設置会社です。取締役の辞任に際して、取締役会も廃止したいと思っています。可能でしょうか?

はい、可能です。

会社法では、取締役会を構成する人員の最低人数が取締役3名以上、監査役1以上置くことと規定されています。

前述のとおり、取締役会設置会社の場合は、取締役の辞任に伴い、取締役の最低人数を割ることになってしまった場合、辞任登記ができません。

取締役会設置が必須の旧商法の時代は、辞任に際して代わりとなる新しい取締役を就任させなければなりませんでした。

新会社法では、取締役会の設置は必須ではなくなりましたので、このような面倒なこともしなくて済みますし、取締役辞任に伴い、この際、「取締役会ごと廃止」すると言う選択肢も可能になりました。

名前を貸しているだけの取締役がいたり、実際には機能していない名ばかり取締役会が会社に残っている場合、害はあっても利するものは一切ありません。

もし、名前貸しだけの取締役が同時にその会社の株式を持っている場合、その取締役が死亡した場合、相続が始まりますので、株式の分散が起こります。

会社の経営に一切関わっていない第三者が株主として会社の経営に口を出してくるという事態も場合によってはあり得るのです。

実際に、名前だけ借りていた親族役員などに辞任してもらい、取締役一人のシンプルな会社に戻したいというご相談は多いです。名前だけの役員を整理することは事業承継対策にもなります。

取締役会の廃止をご検討の方は、当サイト内のこちらのページに詳しく書いていますので、ぜひご参考くださいませ(参考:取締役会の廃止手続きについて)。

↑目次に戻る


辞任する取締役が当社の株式を持っています。どうすれば良いですか?

株式会社の役員と株主としての地位は別個独立しています。

ですから、取締役を辞任しても株主としての地位は失いません。

そのまま保有していても法律上は全く問題ありません。

取締役を辞めると同時に株主としての地位も退いてもらいたい場合は、あくまでもその取締役の同意が必要になりますが、株式を譲渡してもらうことは可能です。

この株式譲渡に関しては、無償・有償どちらでも構いません。売買をしても良いですし、お金のやり取り無く無償で譲渡することも可能です。

通常はその取締役も出資(お金を払って)を行い株式を引き受けていますので、有償での譲渡になります。

譲渡価格については原則、時価での取引になりますが、当事者同士の合意さえあれば、取得時の価格で譲渡しても構いません(時価と譲渡価格に差がある場合は課税される可能性がありますが)。

なお、この株式譲渡手続きは法人内部の手続きのみで完結し、法務局への手続き等は必要ありません。

とは言え、株主としての地位を変動させる重要な法律行為ですので、会社法によって厳格な手続きが求められています。

くわしくはこちらのページをご覧ください。→→株式譲渡手続きの概要【必要書類・手続きの流れ・譲渡時の注意点など詳細解説】

↑目次に戻る


取締役が欠格事由に該当しました。どのような手続きが必要ですか?通常の辞任手続で大丈夫でしょうか?

いえ、取締役が会社法上の欠格事由に該当した場合は、辞任登記ではなく、「資格喪失」登記となります。

取締役が株主でなければならない旨を定款で定めている株式会社の取締役が株主ではなくなった場合なども、この「資格喪失」に該当しますが、通常は、但し書きに、「但し、必要があるときは、株主以外の者から選任することを妨げない」と記載していると思われますので、その場合は、資格喪失には該当しません。

取締役が資格喪失に該当した場合の登記申請の添付書類は、「欠格事由に該当したことを証する書面」として、「後見開始、補佐開始審判書の謄本」や「有罪判決を受けたときの判決書謄本や確定証明書などがあります。

↑目次に戻る


取締役の辞任登記に必要となる書類を教えてください。

変更登記申請に必要となる書類は下記になります。

・株式会社役員変更登記申請書

・辞任届

・OCR用紙(登記すべき事項)

※新しい取締役の就任等なく役員が辞任するだけの場合、株主総会の議事録は不要です。

↑目次に戻る


取締役の辞任登記に必要な登録免許税は?

10,000円です。

ただし、資本金の額が1億円を超える場合30,000円となります。

登録免許税は、登記申請1件に対してかかります。ですので何人辞任しても申請が1件であれば、10,000円または30,000円となります。

↑目次に戻る


取締役を辞任して新事業を立ち上げようと考えています。どのような手続きが必要ですか?また、注意点などはありますか?

取締役であるあなたが行う手続きは辞任届に署名又は記名押印をするだけです。

辞任の意思を会社に伝えることによって一方的に会社との委任契約を終了させることができます。

もちろん、円満に契約を解消できればそれに越したことはありません。

辞任するタイミングによって会社に損害を与えた場合は損害賠償請求される可能性もあります。

株式会社の取締役には善管注意義務が課せられていますので、義務違反とならないように注意してください。

社会保険の手続き等、使用人兼務役員として雇用保険などに入っている場合も会社側が手続きを行なってくれます。

取締役としての契約、雇用形態によって手続きの内容は異なりますので、会社側に確認しておきましょう。

辞任して新規事業を立ち上げる場合の注意点としては、競業避止義務が挙げられます。

競業避止義務についてはこちらのページに詳しく掲載しております。参考にしてみてください。

営業秘密(トレードシークレット)とは

新規事業を株式会社あるいは合同会社で立ち上げる場合の手続きは当サイトでも詳しく解説しておりますので、合わせて参考にしてください。

なお、新規事業に際して事業資金の調達を考えている方は、まずは日本政策金融公庫の創業融資を利用すると良いでしょう。

役員としての経験はプラスの材料になりますし、自己資金がある程度確保できて、創業後の事業計画も立っている場合は、融資実行の可能性は高まります。

日本政策金融公庫からの融資を成功させる大切なポイントはたった3つ!(別サイトにジャンプします)

↑目次に戻る


取締役が死亡しました。突然死でしたので、生前に辞任届を取っていません。この場合はどのような手続きが必要でしょうか?

この場合、辞任登記ではなく「死亡」の登記を管轄の法務局に行うことになります。

死亡した取締役が代表取締役か取締役かによって手続きや届出に必要な書類も大きく異なります。くわしくはこちらのページを参考にしてください。

取締役が死亡した場合の手続きについて

死亡された取締役がご家族の場合、生前に保有していた取締役名義の銀行口座は凍結(勝手に引き出せなくなります)されますので、早期に資金が必要となる場合(葬儀代や生活費の支払い等)は、会社の手続きと共に、口座の解約手続きも早々に開始しなければなりません。

なお、死亡された取締役がその会社の株式を保有していた場合も当該株式は相続の対象となりますので、同様に相続手続きが必要になります。

【参考】

↑目次に戻る

取締役辞任手続きの流れ

取締役が辞任をした場合、本店所在地を管轄する法務局において、役員変更登記を申請することになります。

STEP1

取締役の辞任の意思表示

辞任する取締役が会社に対して、辞任の意思表示をします。

辞任の意思表示は、口頭でも構わないとされていますが、口頭であると証拠がなく、後々トラブルの原因にもなりません。

ですので、辞任の意思を明確にするために書面を残す必要があります。具体的には「辞任届」を代表取締役に提出することによって行われれます。

辞任の流れ

STEP2

登記申請書類の作成

取締役が辞任するために、株主総会を開く必要はなく、誰かしらの承認を得る必要もありません。

ですので、法務局へ登記申請するために作成しなければならない書類は、「登記申請書」のみとなります。添付書類も辞任届のみです。

辞任する取締役の印鑑証明書や代表取締役の印鑑証明書なども一切必要ありません。

辞任届に押す印鑑は、書面の真実性を担保するため、辞任する取締役の実印を押印するか、自筆で署名するほうが良いでしょう。

辞任の流れ

STEP3

変更登記申請を行う(本店所在地を管轄する法務局)

取締役の氏名は登記事項ですので、会社の登記簿謄本に氏名が記載されています。

取締役が辞任した場合は、辞任の日から原則2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局で役員変更の登記申請を行います。

会社の登記事項に変更が生じた場合は、原則変更が生じた日から2週間以内に登記申請を行う必要があります。

登記期間である2週間を過ぎても登記ができなくなるわけではありませんが、あまりにも過ぎた場合は過料の対象になる可能性がありますので、注意してください。

↑目次に戻る

コラム:取締役の退任事由について

取締役は、辞任、任期満了、死亡、解任、資格喪失、破産手続開始の決定、会社の清算により退任します。

この中で一番多いのは、「辞任」です。

辞任は、取締役という役職を自らの意志で辞めることをいいます。厳密には、会社を辞めるわけではないので、従業員として会社にとどまることはできます。「退職」であれば、職を退くことですので、会社も辞めることになります。

会社と取締役との関係は「委任関係」ですので、会社と委任契約を結んで仕事を行っています。従業員のような「雇用関係」ではありません。

この委任契約は、民法上、いつでも解除することができますので、理屈上では取締役はいつでも取締役を辞任することができます。

ただし、取締役が自分の自由に辞任することを許容しているわけではありません。これは、会社が取締役を解任する場合にも同じことが言えます。

また、取締役が辞任することによって、法律や定款に定めた取締役の員数を欠くことになった(例えば取締役が1人もいなくなる)場合は、新しい取締役が就任するまでは、引き続き取締役としての権利義務を有することになります。つまり、後任者が選ばれるまでは辞任の登記はできません。

↑目次に戻る

コラム:代表取締役の地位のみの辞任についての注意点

代表取締役は、取締役の中から選ばれます。取締役以外から代表取締役になることはできません。

代表取締役は1人以上置く必要がありますので、取締役が2人以上いる会社では、必ず1人は代表取締役がいることになります。

代表取締役の地位のみ辞任してただの取締役になり、他の取締役が代表取締役になることは往々にしてあることです。

もちろん代表取締役の地位のみ辞任することは可能ですが、注意点があります。

代表取締役は、定款で直接代表取締役を選ぶ、株主総会の決議により代表取締役を選ぶ、取締役の互選で選ぶ方法があります。

この中で、定款または株主総会決議により代表取締役を決めている会社では、取締役の地位と代表取締役の地位が一体であると考えられています。

ですので、辞任する代表取締役の意思表示(辞任届)だけで代表取締役の地位のみを辞任することはできず、代表取締役の辞任を株主総会で承認する決議を行う必要があります。

↑目次に戻る

会社設立.com
お問い合わせはこちらから

Copyright (C) 2019 行政書士法人MOYORIC(モヨリック) All Rights Reserved.
掲載コンテンツ・イメージの転写・複製等はご遠慮下さい。