株式会社の解散・清算手続きの概要

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株式会社の解散・清算手続きをわかりやすく解説

はじめに

当記事は、これから株式会社の解散手続きを行う方、近い将来株式会社の解散を考えているという方に向けて、作成しています。

株式会社の解散手続きの概要、必要となる手続きの流れ、書類、解散時における注意点の解説のほか、解散手続きQ&A等も掲載しておりますので、ぜひ、参考にして頂ければと思います。

それでは、どうぞご覧くださいませ。

目次(もくじ)

株式会社の解散

《参考》会社を解散した(する)場合に必要となる17の手続き一覧【株式会社&合同会社編】

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そもそも株式会社の解散とは?解散するとどうなる?

株式会社を解散すると、当然ですが、これまで行ってきた事業活動はすべて停止することになります。

そして、株式会社の解散後は株式会社を法的に消滅させるための残務処理、清算事務を行うための期間、「清算期間」に入ります。

会社は解散をすればすぐに消滅して無くなると勘違いしている方がいらっしゃいますが、そうではありません。

株式会社は、例え解散したとしても法的に消滅するまでの期間は「清算会社」として存続します。

清算会社は、売掛金などの債権があれば回収し、買掛金や未払金などの債務があれば弁済を行います。

会社名義の不動産や自動車があれば処分する、リース契約があれば解約する、銀行口座を解約するなど、会社の財産が0(ゼロ)になるように処理していきます。

会社の規模、会社の財産(負債や資産)の状況、債権者の数などによって、清算手続きにかかる時間は変わってきます。

実際の清算手続きは、会計帳簿上の処理や決算、清算申告などにも影響してきますので、通常は顧問税理士に相談しつつ進めます。

顧問税理士がいない場合は、管轄の税務署にて申告の方法などを相談しながら進めていくことになります。

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株式会社の解散方法について

株式会社は、下記のいずれかの方法によって解散します。

  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散の事由の発生
  • 株主総会の決議
  • 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
  • 破産手続開始の決定
  • 会社法第824条第1項又は第833条第1項の規定による解散を命ずる裁判

通常は、上記のうちの「株主総会の決議」によって自主的に解散します。

※破産、倒産の場合は株主総会の決議による解散はできず、裁判所が関与するいわゆる破産手続を行わなければなりません。

なお、株主総会の決議により解散をした場合、その会社を管轄する法務局において、2週間以内にその旨の登記を行う必要があります。

なお、株式会社の解散登記とともに、その会社の「清算事務」を行う「清算人」を選任します。

この清算人の選任登記は、解散の登記と同時に行わなければならないとの定めはありませんが、手間や費用の削減から、通常は、解散登記と同時に申請します。

株主総会の決議後、清算事務を行うとともに、債権者保護公告(個別の催告と官報公告)を行います。

なお、官報に解散公告が掲載されてから2ヶ月の債権者申出期間をおかなければなりませんので、この間に清算に向けての清算事務(残務処理)を行います。

清算事務の終了後、清算結了の登記を法務局に行います。清算結了登記をもってはじめて会社は法的に消滅します。

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株式会社の解散・清算人選任登記に必要となる書類例

株式会社の規模、組織構成によって異なりますが、法務局での株式会社の解散・清算人選任登記における必要書類例は下記のとおりです。

  • 株式会社解散及び清算人選任登記申請書
  • 定款
  • 株主総会議事録(解散及び清算人清算決議の総会議事録の雛形
  • 清算人会議事録(清算人会を設置する場合)
  • 就任承諾書
  • 別紙(登記すべき事項)
  • 委任状(代理人に依頼する場合)

解散・清算人選任登記手続きには定款が必要です。定款が手元に無い、定款を紛失しまったという方は、定款を作り直す必要があります。定款再作成に関する詳細はこちらをご覧ください。

《参考》株式会社の定款を作り直す場合の注意点と必要な手続き

また、ご自身で定款を再作成できる書式集も販売しておりますので、ご入用の際はお買い求めくださいませ。

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株式会社の解散・清算人選任登記に掛かる登録免許税

  • 解散登記:30,000円
  • 清算人選任登記:9,000円

その他、官報公告掲載料金が35,000~40,000円ほど掛かります。

清算人に関する詳細は下記ページをご覧ください。

《参考》株式会社解散・清算手続きにおける「清算人」について

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債権者保護公告とは?

解散及び清算人選任登記後、2ヶ月以上、債権者保護手続き等にかかる官報公告等を行います。

これは、最寄の官報公告販売所での申込みが可能です。

会社の清算事務手続きが終了したときは、株主総会で決算報告の承認を受けた日から2週間以内にその旨の登記を行います。

《参考》債権者保護手続きとは?

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清算結了登記とは?

株式会社の清算結了登記は、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して行い、登記申請には決算報告の承認があったことを証する書面を添付します。

決算報告を証する書面には、会社法施行規則150条の定めに従い作成された決算報告書と承認した株主総会議事録などが該当します。

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株式会社の清算結了登記に必要となる書類例

株式会社の規模、組織構成によって異なりますが、法務局での株式会社の清算登記における必要書類例は下記のとおりです。

  • 株式会社清算結了登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 決算報告書

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株式会社の清算結了登記に掛かる登録免許税

  • 2,000円

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株式会社の解散・清算手続きの流れを詳細に解説!

STEP 1 株主総会による解散の決議と清算人の選任

株式会社を自主的に解散する場合、株主総会において『解散の決議』を行う必要があります。

この株主総会において、解散の決議と合わせて『解散日』も決めますが、多くの会社では株主総会を開催する前に解散することが決まっていますので、『解散の決議日』=『解散日』とするのが一般的です。

解散後、会社は事業活動を中止することになりますので、これまで業務を行ってきた取締役等はその存在意義がなくなり、取締役に代わって『清算人』が会社の残務整理(=清算事務)を行うことになります。

清算事務を行う清算人は代表取締役がそのまま就任することが多いですが、第三者でも問題なく、解散決議と同時に清算人を選任します。

STEP 2 解散日の到来(解散決議日と同日)

解散日から会社は事業活動を継続することができなくなりますので、残務整理(=清算事務)の範囲内でのみ会社が存続します。

清算人が会社を消滅させるためこの残務整理を行います。これらの清算事務が終わらないと清算結了をすることができません。

STEP 3 管轄法務局への解散・清算人選任登記申請

登記申請に必要な書類を作成して、解散日より2週間以内に管轄の法務局へ「解散」と「清算人の選任」の登記申請を行います。

申請者は代表取締役ではなく代表清算人となりますので、間違わないようしてください。

STEP 4 登記申請後、遅滞なく、財産目録・貸借対照表の作成

解散日の翌日から清算事務を行います。

まず、清算人は解散時の財産目録及び貸借対照表を作成し、株主総会の承認を得る必要があります。

財産目録とは、清算開始時における会社の資産や負債の財産状況を示す内訳書であり、貸借対照表は財産目録に基づいて作成されます。

STEP 5 官報に公告(最低2カ月間)

会社が帳簿などで把握している債権者には、個別に通知(催告)を出さなければなりません。

この通知とは別に、官報に解散公告を掲載しなければなりません。この公告は最低2ヶ月間と決まっており、公告期間が終わらなければ、債務を弁済することができません。

官報への公告は必ずしなくてはいけないこと(法定事項)なので、一人も債権者がいない場合でも必要です。

STEP 6 清算人による債務弁済後に、株主へ残余財産を分配する

清算人は公告期間が満了したら債権者に対して債務の弁済を行います。

債務の弁済が終了してもなお財産が残っている場合は、株主に財産を分配します。これで、清算事務が完了となります。

《参考》会社解散後に残ったお金、資産はどう処分する?

STEP 7 清算事務終了後、株主総会の承認を受ける

清算事務終了後、清算を結了するため清算人は決算報告書を作成します。

決算報告書は株主総会で承認を得る必要があります。決算報告の承認後、清算結了の登記申請を行います。

STEP 8 管轄法務局への清算結了登記申請

登記申請に必要な書類を作成して、株主総会での決算報告が承認されてから2週間以内に管轄の法務局へ清算結了の登記申請を行います。

登記が完了すると会社の法人格が完全に消滅することとなります。清算会社の帳簿や清算に関する重要な書類などは、清算人が10年間保存しなければなりません。

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解散・清算手続きQ&A

Qすぐに解散できますか?
A株主総会の決議が取れるのであればすぐに解散することはできますが、解散決議をもって会社が法的に無くなるわけではありません。
解散後も清算事務が終了するまでは、清算会社として存続することになります。
解散後は、設立してから解散に至るまでに築き上げた資産や、負債を清算(処分)しなければなりません(清算事務と言います)。
この清算する期間は債権者保護公告期間を含め、最低でも2ヶ月以上設けなければなりませんので、会社を法的に消滅させるには少なくとも2ヶ月半以上かかることになります。
Q清算事務とは何でしょうか?
A解散後の残務処理を行うことを清算事務といいます。
会社設立直後などでなければ、通常は会社が持っている資産(現金や預金、不動産や動産など)や負債(融資・借入金など)が残ったままになっていますので、残った財産を清算しなければなりません。
資産や負債を処理する以外にも、税務署へ解散届出や確定申告を行うなど役所に対しても手続きを行わなければなりません。これらの手続きを行うのが「清算人」です。
清算人は法務局に登記され、清算中の会社を代表します。
通常は解散前に代表取締役に就任していた人がそのままスライドする形で就任しますが、第三者が就任しても構いません。
Q清算事務を自分で行うことはできますか?
A清算事務を専門家に頼らず自分で行うこともできます。
例えば、社歴が浅く売上がない、会社の資産は現金しかない、借入していない、会社名義の不動産を所有していないなど、処分する資産、負債がなければ自力で行うこともできます。
会社が持っている資産や負債が少なければ、その分処分に要する時間も短くなりますし、清算事務は比較的簡単に行えるようになります。 ネックとなるのは税務署などへの解散、清算の届出や確定申告ですが、届出窓口へ何度か足を運び、担当者の方と相談しながら自力で申告を行っている方もいます。
逆に、社歴が長い、会社名義の不動産を所有している、処分する財産がたくさん残っている、従業員を雇っている、役員からの借入金が残っているなどの場合は、税理士さんに決算申告、清算申告を依頼しましょう。
税金が絡んでくる部分でもありますので、自力で確定申告を行うのは難易度が高いと思われます。
Q債権者保護手続きとは何でしょうか?
Aその名の通り、債権者を保護するための手続きです。
通常、会社には「債権者」が存在します。
例えば、掛け取引を行っている仕入れ先、借り入れを行っている場合の金融機関などが該当します。
お金を返済しなければならない相手先と考えるとわかりやすいかもしれません。
債権者は会社が解散すると思って商品を売ったり、お金を貸したりしているわけではありません。当然ですが、会社が解散したからといってこれらの返済義務はなくなりなりません。
債権者保護手続きは、これらの債権者の権利を守るために定められた会社法上の規定です。
具体的には次の2つの手続きを言います。
1.官報に公告すること
2.会社が把握している債権者には個別に催告をすること
官報とは、国が発行する機関誌のことで、新聞のように毎日発行されているものです。
この官報に、「自分の会社は解散したので、債権者がいれば申し出てください」旨の情報を掲載し公告をしてもらいます。
そして、会社がすでに把握している債権者には、官報とは別に「個別の催告」を行います。
具体的には、債権について申し出てもらうように「催告書」というものを送ります。 この債権者保護手続きはどちらも2ヶ月以上の期間を設けなければなりません。
Q官報公告を行うにはどうしたらよいのでしょうか?
A全国にある官報販売所へ掲載の申込みを行います。
官報は全国紙なので、全国どこの官報販売所へ申し込んでも費用に変わりなく、同じ紙面で掲載されます。
「官報販売所」と検索したらすぐにでてきますので、会社の近くにある官報販売所へ「解散公告を申込みたい」と問い合わせてもいいですし、官報販売所のホームページから直接申し込むこともできます。
Q官報公告の費用はいくらかかりますか?
A掲載する行数によって料金が設定されています。
官報は新聞みたいなものなので、行数(1行22文字)×単価(2019年3月現在1行3,524円)で計算されます。
10行なら35,240円、11行なら38,764円、12行なら42,288円です。
解散公告はだいたい10行から12行ぐらいでおさまると思いますが、会社の住所と社名が入りますので、住所や社名が長いとその分行数が多くなって、料金も高くなります。
Q会社に借金がある場合、解散はできますか?
Aもし会社に借金(債務)があっても「解散」はできますが、負債が残ったままでは「清算」はできません。
解散時点で会社に借金があったとしても、清算事務を行っていく中で完済できるのであれば、何の問題ありません。
しかしながら、清算しても借金を完済できない状態「債務超過」となる場合は、通常の清算は行えず、裁判所に「特別清算」の申立てをして、裁判所の監督のもとで清算手続きを行うことになります。
解散前の時点で既に借金が残ってしまうとわかっている場合は、裁判所へ破産申立手続きを行います。

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解散会社の復活(継続登記)手続きについて

会社を解散したけれど、やっぱり会社を復活させたい場合、清算結了登記の前であれば解散前の状態に戻すことができます。

株式会社では「株主総会の決議」により解散することが多いのですが、下記の事由によって解散した場合は、株主総会決議によって会社を継続することができます。

  1. 株主総会の決議により解散
  2. 定款で定めた解散事由の発生
  3. 存続期間の満了

解散前の状態に戻して解散前の会社と同一性を有する会社にすることを「会社の継続」と言います。

ただし、解散したときに取締役や代表取締役は抹消されていますので、会社の継続が決まったからと言って解散前の取締役や代表取締役が当然に復活するわけではありません。

株主総会で会社の継続を決議すると同時に新たな取締役を選任する必要があります。

なお、例え解散前と同じ取締役が選任されたとしても「再任」とはならず、改めて「就任」として取り扱われます。

株式会社の継続登記手続き 取締役会設置会社の場合

◆継続登記手続きの流れ
  1. 株主総会の開催(会社の継続、取締役の選任決議)
  2. 取締役会の開催(代表取締役の選定)
  3. 管轄の法務局へ会社継続の登記申請
◆継続登記の必要書類例
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
◆継続登記の登録免許税
  • 継続登記:30,000円
  • 役員変更:10,000円
  • 取締役会設置:30,000円

合計 70,000円

※上記の他、株式譲渡機関を変更する場合・監査役を設置する場合は別途1万円が掛かります。

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みなし解散の復活(継続登記)手続きについて

休眠会社の整理により「みなし解散」された会社であっても、みなし解散登記後3年以内であれば株主総会の決議により会社を継続することができます。

会社が解散すると代表取締役に変わって「清算人(代表清算人)」が解散した会社の清算事務を行います。みなし解散された株式会社においては、解散時に「取締役であった者」が法定清算人となります(定款に別段の定めがある場合を除く)。

しかしながら、みなし解散された会社には「清算人」の登記はされていませんので、継続登記の際にその前提として「清算人に関する登記」も合わせて行わなければなりません。

もし、取締役以外から清算人を選任する場合には、清算人の変更となりますので、法定清算人の就任及び退任の登記も行うことが必要です。

みなし解散の継続登記手続き 取締役会設置会社の場合

◆継続登記手続きの流れ
  1. 株主総会の開催 会社の継続、取締役の選任決議
  2. 取締役会の開催 代表取締役の選定
  3. 管轄の法務局へ会社継続の登記申請
◆継続登記の必要書類例
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 定款
◆継続登記の登録免許税
  • 清算人の登記:9,000円
  • 継続登記:30,000円
  • 役員変更:10,000円
  • 取締役会設置:30,000円

合計 79,000円

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