黄金株(拒否権付種類株式)とは?黄金株のメリットや発行方法を分かりやすく解説

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黄金株(拒否権付種類株式)とは?メリットや発行方法を分かりやすく解説

普通株式と何が違う?

通常、会社が発行している株式は「普通株式」と呼ばれるもので、株式の権利(内容)は平等で株主間に優劣はありません。これが原則です。これとは別に、定款に定めることによって、株式の権利(内容)が異なる株式の発行も可能です。

種類株式」と呼ばれています。

この種類株式の中に、「拒否権付種類株式」、いわゆる「黄金株」というものがあります。

当ページでは黄金株について詳しく解説していきます。

拒否権付種類株式とは、その名の通り「拒否権が付いている株式」です。例え1株でも黄金株を持っていれば、株主総会の議案について拒否権を発動することができる絶大な権利が付いている株式です。

種類株式を発行している会社では、通常の株主総会以外に種類株主で構成する種類株主総会を開催することになります。

通常の株主総会の全ての決議事項について、拒否権付種類株主総会の決議が必要であるとすることで、たとえ通常の株主総会で可決された事項でも、種類株主総会において可決も否決もできるようになります。

全ての決議事項以外でなくとも、例えば、定款の変更や取締役選任など、一部の決議事項についてだけ種類株主総会の決議を必要とすると定めることも可能です。

拒否権付種類株式を発行するには、定款で種類株式を発行することを定める必要があります。

まず、株主総会を開催して、定款の変更の決議を行います。その際に「各種類の株式の内容」と「各種類株式ごとの発行可能株式総数」を定めます。その後、法務局へ変更登記の申請を行います。

この拒否権付種類株式は、事業承継の場面で活用されています。

例えば、後継者に株式を贈与して自分は第一線から退いたとしても「黄金株」を1株でも持っていれば、株主総会で決議された事項について拒否権を持っていることになりますので、実質的には発言権を保持しつづけることができます。

社長を引退したいけれども、後継者の経営経験が浅くしばらくは安心して任せることができない場合など、引退しても黄金株を持つことで会社にとって重要な事項に関しては決定権を持っていられるという事ができます。

ただし、株式は相続の対象となりますので、もしこの黄金株が相続の対象になった場合、会社の意図していない相続人に相続される可能性もあります。そうなると、これまで行ってきた事業承継対策が水泡に帰すことにもなりかねません。十分に注意してください。

拒否権付種類株式を導入することによって意図しない結果を招くこともありますし、他の株主の利益を害する形となりトラブルに発展することもあります。

拒否権付種類株式の発行は、必要に応じて専門家などの意見も取り入れつつ、慎重に行う必要があります。

黄金株(拒否権付種類株式)発行方法とその流れ

種類株式を発行していない会社が種類株式である「黄金株」を発行する場合、株主総会において2つの手続きを行う必要があります。

(1)種類株式を発行することを定めること

種類株式を発行するには、定款においてその旨を定め、株主総会の決議を行うことが必要です。

定款で定める事項は、下記の通りです。

  • 種類株式の内容
  • 種類株式の発行可能株式総数

「黄金株」はあくまで通称であって種類株式の一つです。「黄金株を発行します」と定めるわけではなく、どのような内容の種類株式を発行するかを定めることになります。

例えば、「会社の代表取締役を選ぶ場合」や「会社の合併や会社分割を決定する場合」は、種類株式を持っている株主で構成する種類株主総会の決議を得ないといけない等、その具体的な内容を定款に定めます。

よく「甲種類株式」と名前が付けられていますが、これは普通株式や他の種類株式と区別するために付けられる名前であって、甲種類株式が全て同じ内容の株式ではありません。甲や乙はもちろん、A種類株式など、会社の任意で設定することができます。

そして、種類株式の「発行可能株式総数」を定めます。発行可能株式総数とは、発行できる種類株式の総数のことです。すでに普通株式の発行可能株式総数は定められ、登記されていますので、種類株式についても同じように発行可能株式総数が登記されます。

非公開会社においては発行可能株式総数の上限はありませんので、今後種類株式をどれだけ発行するかを考慮して決めると良いでしょう。

《参考》株主総会議事録の書式 雛形(拒否権付種類株式・黄金株の発行)

これらは定款変更に該当しますので、株主総会の決議方法は「特別決議」が必要です。承認決議後、定款変更の効力発生日から2週間以内に法務局へ登記申請を行います。

(2)黄金株を発行すること

種類株式を発行する定款変更を行った後、実際に種類株式「黄金株」を発行する手続きを行います。

発行手続きは、普通株式の増資(募集株式の発行)手続きとほぼ同じです。

(1)の種類株式を発行する定款変更の株主総会と同時に手続きを行っても構いませんし、日を改めて株主総会を開催して単独で手続きを行っても構いません。

通常の募集株式発行手続きと異なる点は、募集事項を決定する際に「募集株式の種類とその数(発行する株式数)」を定めることです。

例えば、黄金株の名称を「甲種類株式」としたのであれば、「甲種類株式 ○○株」と発行する種類株式とその数を決定します。もし、普通株式も同時に発行するのであれば、「普通株式 ○○株、甲種類株式 ○○株」と発行する株式とその数が分かるようにします。

《参考》株主総会議事録の書式 雛形(種類株式の発行&増資を同時に決議)

種類株式の発行は、原則株主総会の「特別決議」が必要です。種類株式を発行した場合は、払込期日又は払込期間の末日から2週間以内に法務局へ登記申請を行います。

黄金株の特徴:まとめ

  • 1株だけ発行しておけば足りる
  • どのような内容について拒否権を持たせるかを自由に設計できる
  • 定款で種類株式を発行することを定めなければならず、発行するにはハードルが高い
  • 黄金株に相続が発生した場合、会社にとって予期せぬ相続人が株主となる可能性がある
  • 株主と経営陣との間で対立があると問題のない議案に対しても、拒否権を発動する可能性がある

コラム:上場企業では活用されない?黄金株は中小企業向き

前述の通り、黄金株と呼ばれる「拒否権付株式」は、会社の重要事項の議決を拒否できる強力な権限がある株式です。

黄金株は、会社の信頼できる株主が保有していれば、買収防衛策や事業承継の場で活用できるなど、その効果が期待できます。

その一方で多くの株主が賛成する案件であっても、黄金株を持っている株主1人の恣意的判断で決議が覆されるなど、「株主平等の原則」や「1株1議決権の原則」を害する側面があります。

本来であれば、株主は保有している株式1株について1個の議決権を持っています。保有株式数が多ければ多いほど、発言力があるということになります。

黄金株は1株であっても強い権限があるため、どれだけ普通株式を保有していたとしても、たった1株の黄金株には敵わず、実質的に普通株式の価値が黄金株よりも下であるというような印象を与えます。

実際に株式の価値としては、黄金株でも普通株でも価値が変わることはありません。

また、黄金株はそのあまりの強さから、東京証券取引所では、拒否権付種類株式の発行について、一定の条件で上場廃止となる基準を定めています。

現在、上場企業で黄金株を保有しているのは1社のみであり、黄金株を採用する会社はほとんどありません。外国においては、発行そのものを禁止している国もあります。

発行内容によっては、無用な乱用を生む可能性もあるため、専門家によっては黄金株は発行すべきでないという意見もあります。

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