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起業家の皆さまにとっては、会社を大きくしていくのも重要な問題ですが、ご自分に万が一があった場合にどうするか考えるのも同じくらい重要です。
そこで活用してほしいのが、生命保険の活用です。実は生命保険はうまく使えば、相続税対策にも活用できます。
なぜ、そんなことが可能なのでしょうか?
生命保険を法人として契約するメリット・デメリットと合わせて考えてみましょう。
(※以下の文章においては、法人生命保険=生命保険として記述します。)
【目次】
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相続が起こった場合、誰にでも死亡保険金の非課税枠は認められています。
つまり、「500万円×法定相続人の数」の金額までなら、受け取った保険金について相続税はかからないのです。
これは、個人事業主としてビジネスを営む場合でも、法人の代表者としてビジネスを営む場合でも変わりません。
ここからは、法人の代表者としてビジネスを営んでいる場合にだけ受けられる特典といってもいいかもしれません。
法人の代表者が亡くなって、会社で契約していた保険から保険金を受け取った場合、いったん会社が預かり、その後、遺族に死亡退職金として渡すパターンが一般的です。
相続税法では、死亡退職金についても非課税枠が決められています。
死亡保険金と同じく、「500万円×法定相続人の数」までなら相続税はかかりません。
また、死亡退職金を払うことは、法人にとってもメリットがあります。
死亡退職金は一般的に、「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」の式で求められますが、これが不当に高額でない場合、経費に算入できるのです。
なお、功績倍率は次の数字が使われています。
役職 | 倍率 |
---|---|
社長 | 3.0 |
専務 | 2.4 |
常務 | 2.2 |
平取締役 | 1.8 |
監査役 | 1.6 |
つまり、法人にとっても、法人の代表者個人にとっても、死亡退職金の制度はメリットが大きいといえるでしょう。
この2つの非課税枠だけで、どのくらい相続税が節税できるか考えてみましょう。次の事例を思い浮かべてください。
例)法定相続人3人(配偶者、子ども2人)、現金1億円分の相続が発生したとする。
パターンA:全額現金で相続する。
この場合、相続税は315万円
パターンB:現金7,000万円、死亡保険金1,500万円、死亡退職金1,500万円で相続する。
この場合、相続税は113万円
→差額は202万円
3分の1近くまで相続税が減りました。かなり高い節税効果が見込めるのがお分かりいただけたかと思います。
死亡保険金、死亡退職金の非課税枠のみならず、生命保険は相続の様々なシーンに活用できます。
ここでは、次の4つのトピックについて解説します。
法人の代表者が亡くなった場合、死亡退職金を法人から代表者個人に支払わなければいけません。
実際の金額がいくらになるかは、個々のケースによって異なります。
しかし、勤続年数が長くなればなるほど、死亡退職金も高額になるのは間違いありません。
生前に何も対策をしないまま、代表者が亡くなってしまった場合、支払いに充てる現金をどこから調達するかが問題となります。
この点、生命保険を活用すれば、長いスパンで準備をしていくことが可能です。
法人の代表者が亡くなった場合、死亡退職金とは別に弔慰金を支給するケースがあります。
業務上の死亡の場合は普通給与の3年分、業務外の死亡の場合は普通給与の6か月分までなら、相続税は課税されません。
(※超える場合は死亡退職金として相続税が課税される。)
弔慰金の支払いに充てる目的でも、生命保険は活用できます。
法人の代表者の相続が起こった場合、問題となるのが代表者個人が所有する自社株です。
会社の規模によっては、かなりの資産価値がある場合もあります。
このとき、何もしないで遺族が相続したら、相続税の支払いも多額になってしまうのです。
そこで、いかにして相続税評価額を引き下げるかが大きな問題になります。
なお、自社株の相続税評価額を求める際、一般的には類似業種比準価額が使われます。
これは、次の項目を使って評価額を求める方法です。
このため、利益を引き下げさげられれば、相続税評価額は大幅に安くなります。
生命保険を法人で契約し、保険料を損金算入していれば、利益は下がるので、結果として自社株評価額も安くなるという仕組みです。
いくら相続税を安くする取り組みをしたところで、相続税が発生した以上は払わなくてはいけません。
その時にどれだけまとまったお金を遺族に残せるかは、とても重要です。
生命保険を使えば、まとまったお金を遺族に残せ、相続税の支払いに回せます。
法人で生命保険を契約する場合、相続税対策以外の面でもメリットがたくさんあります。ここでは、次の3つのメリットについて解説しましょう。
保険料のうち一定の金額を損金に算入できる生命保険の場合、帳簿外に緊急予備資金を貯めておくことができます。仕組みを解説しましょう。
このような会社があると考えてください。
例)
この場合、毎年の支払保険料500万円のうち250万円を経費で計上し、残りの250万円は保険料積立金として資産計上します。
そのまま10年保険料を支払い続けたとしましょう。
10年後の貸借対照表には2,500万円の保険料積立金が計上されています。
10年経過した時点で解約し、解約返戻金を5,000万円(=500万円×10)受け取った場合、帳簿外に2,500万円貯めておけたということになるのです。
大きな取引先の倒産など不測の事態が生じた場合に備え、帳簿外にまとまったお金をためておけるのは、かなりのメリットでしょう。
ビジネスがうまくいって、予想していた以上の利益が出る場合もあります。
嬉しいことは嬉しいのですが、法人税対策をどうするかが悩みどころではありませんか?
このような場合にも、生命保険は活用できます。
一般的に、生命保険を検討し始めてから、保険料を損金計上するまでには、次の5つのステップを踏みます。
(STEP1)保険商品を検討する。
(STEP2)保険商品を契約する。
(STEP3)医師の審査を受ける。
(STEP4)保険料を振り込む。
(STEP5)診査が完了し、通れば契約が成立する。
ここで、いつ保険料を損金計上できるかが問題となります。
正解は、4の保険料を振り込んだ時点です。1~4までのステップは、早ければ1週間程度で完了します。
1週間もあれば、決算に間に合わせるには十分でしょう。
生命保険の基本的な性質としては、保障が受けられることがあげられます。
法人の代表者なら誰でも、「自分に万が一のことがあったら、会社はどうなるんだろう」という不安に襲われたことはありませんか?
仮に万が一のことがあった場合、社内が混乱してしまうと、取引先・銀行などの関係者からの信用が得られなくなり、融資が止められ、資金繰りがショートするなど経営危機に立たされる可能性は十分にあります。
残された役員や社員への給与・賞与の支払いも心配しなくてはいけません。
そんなときに、生命保険を活用し、ある程度のまとまった現金を受け取れれば、経営の立て直しもスムーズにいくはずです。
相続税対策もでき、経営上のリスクにも備えられる生命保険は、一見いいことづくめの商品に思えるかもしれません。
しかし、次に掲げる一定のデメリットもあります。
それぞれについて解説します。
生命保険に加入した場合、保険料を支払うのは当たり前です。
年払保険料が500万円の場合、年間500万円の現金が流出します。
しかも、生命保険は長期にわたって保険料を支払うのが前提であるため、会社のキャッシュフローに及ぼす影響は大きいです。
ビジネスを成長させるために、現金を新規事業の投資や人員の拡充に充てる場合は、キャッシュフローの悪化は何としても避けたいところでしょう。
そうなると、生命保険を契約するのはいい選択肢ではありません。
生命保険を解約した場合、解約返戻金を受け取ることができます。
しかし、返戻率はいつ解約するかで大きく違うのも現実です。実際の返戻率は個々の商品によって違いますが、中には早期解約をすると40~80%しか戻ってこない商品もあります。
途中で生命保険を解約することを考えて、契約する場合には、「いつ解約するか?」もしっかり見極めた方がいいでしょう。
生命保険の保険料は、一定の割合で損金に算入でき、節税効果が見込めます。
しかし、生命保険を解約したときに解約返戻金を受け取った場合、その金額は雑収入として益金となって、法人税が課税されます。
つまり、節税効果が見込めるといっても、実態は税金の繰り延べでしかないのです。
途中で解約する場合は、受け取った解約返戻金をどう使うかという戦略も併せて考えないといけません。
生命保険は上手に活用すれば、相続税の節税や経営のリスクに備えるための有効な手段となります。
一方で、キャッシュフローに及ぼす影響も大きく、解約返戻金の活用法もしっかり考えなくてはいけません。
そうなると、どんな生命保険を契約するのが一番いいかは、個々のケースによって異なるでしょう。
やはり、顧問の税理士や保険会社の担当者としっかり打ち合わせを行い、商品を吟味して契約するのをお勧めいたします。
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