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不動産投資である程度の収益をあげられるようになったら、税金対策として法人(=会社)を設立するのも視野に入れたいところです。
しかし、どのラインで法人化を検討すべきなのでしょうか?
そして、そもそも法人化をするにあたっては何をどうすればいいのでしょうか?
わからないことだらけなはずなので、一つ一つ解説していきます!
法人化のタイミングをいつにすべきかは、個々の事情によって異なる部分もあります。
ここでは「法人税の税率」と「所得税の税率」の2つの観点から、法人化すべきタイミングを検討してみましょう。
個人事業主としてビジネスを営んだ場合、所得には所得税・住民税・事業税がかかります。
法人としてビジネスを営んだ場合、所得には法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税がかかります。
ここでは、比較しやすくするために、メインとなる所得税と法人税の税率から、分かれ目となるラインを探りましょう。
最初に、法人税の税率を見てみましょう。
普通法人 | 全て | 23.9% |
---|---|---|
中小法人 | 所得が年800万円相当額以下 | 15.0% |
所得が年800万円相当額超 | 23.9% |
最大で23.9%となっています。この数字を踏まえ、所得税の税率も見てください。
課税所得金額(1,000円未満切り捨て) | 税率 | 控除額 | |
---|---|---|---|
超 | 以下 | ||
- | 195万円 | 5% | 0円 |
195万円 | 330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円 | 695万円 | 20% | 427,000円 |
695万円 | 900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円 | 1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円 | 4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円 | - | 45% | 4,796,000円 |
注目していただきたいのが、課税所得金額が900万円以上の場合です。
法人税では税率が23.9%となっていますが、所得税では33%となっています。
課税所得金額が900万円を超える場合は、明らかに法人化し、法人税を納めた方が得です。
実際は、後述する節税効果などもありますので、課税所得金額が600万円を超えそうなラインから、法人化を検討し始めるのも一つの選択肢となるでしょう。
法人化した場合、節税効果が大きいという話がささやかれています。具体的には、どういう点で節税ができるのでしょうか?ポイントをまとめました。
個人事業主の場合、売上高から経費を差し引いた事業利益に対し所得税が課税されます。
給与や役員報酬という概念はありません。一方、法人の場合は役員報酬を経費に算入できます。
また、役員本人も個人の給与所得控除を利用して節税できるので、さらなる節税効果が見込めるのです。
役員報酬に関して更に詳しく知りたい方は下記を御覧ください。
個人事業主の場合、家族に給料を出すには「青色事業専従者給与」の届出をしなくてはいけません。
また、この届出を出した時点で、配偶者控除・扶養控除は適用されなくなります。
一方、法人であれば、家族を従業員として雇用し、給与を出すのも常識的な範囲内で自由にできます。
これも経費として算入できるので、結果として節税につながるのです。
法人の場合、5年以上勤務した役員については、退職金についても税務上有利な扱いが受けられます。
役員本人に対しては、退職金から退職所得控除を行い、さらにその半分に対して所得税が源泉徴収される仕組みです。
また、法人に対しても、退職金を会社の経費として算入できるので、さらに節税効果が見込めます。
ビジネスにおいて、収入より経費が多い状態(いわゆる赤字)になった場合、翌期以降に赤字分を欠損金として繰り越せます。
この繰り越せる期間は、個人事業主(青色申告)が3年間であるのに対し、法人の場合は9年間(平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年)となっており、かなり差があるのです。
節税できる期間も当然長くなります。
個人事業主が生命保険に加入した場合、支払う保険料は経費に算入できません。
一方、法人になっていれば、保険料を経費に算入できる保険商品を契約することで、節税につながります。
個人事業主の場合、事業主が死亡した場合はすべての財産が相続の対象となり、多額の相続税がかかるケースもあります。
一方、法人であれば、会社の所有財産には相続税がかかりません。
ただし、経営者が所有している法人の株式には、相続税がかかるので注意してください。
税金面以外からの、法人化のメリット、デメリットも考えてみましょう。
次の点がメリットとして考えられます。
個人事業主であっても、ビジネスでの技術・実績を積めば高額な取引はできます。
しかし、金融機関とのやりとり、Webサイトの運用、営業・採用時のネームバリューという点においては、法人の方が有利なのも確かです。
個人事業主として金融機関から融資を受ける場合、第三者保証人が必要となるなど、条件がかなり厳しいです。
一方、法人の場合、融資・資金調達の方法が幅広く用意されています。
一方、次のようなデメリットもあることにご注意ください。
個人事業主の場合、赤字なら税金を払わなくていいです。
しかし、法人化した場合、法人住民税の均等割を必ず払わなくてはいけません。
法人化すると、健康保険・厚生年金保険に加入しなくてはいけません。
保険料は法人と本人が折半するので、従業員が増えれば増えるほど、負担が大きくなることに注意してください。
法人化した場合、次の事務負担が増加するので、どう処理するかをよく考えてください。
自分一人でやるのは難しいと思ったら、すぐに専門家を手配した方がいいでしょう。
会社を設立する場合、一般的には株式会社か合同会社を設立します。両者について比較してみましょう。
株主から資金調達をして、経営者が事業を行い、儲けた利益を株主に分配する仕組みを取っている会社です。
株主は、自分が出資した資金の範囲内でしか責任を負いません(間接有限責任)。
次のメリットが挙げられます。
一方、次のデメリットも挙げられます。
出資者全員が間接有限責任社員によって構成されている会社です。
この点は株式会社と変わりませんが、株式会社に比べると、定款自治が認められている=自分たちの裁量で決められる部分が大きいため、経営上の自由度が高いのが大きな違いでしょう。
合同会社には、次のメリットがあります。
一方で、合同会社には、次のデメリットがあります。
【関連ページ】
不動産投資における合同会社設立のメリットについてはこちらでも詳しく解説しています(合同会社設立ドットネット内。別サイトにジャンプします)。
ここまでの内容を踏まえると、最初は合同会社を設立し、軌道に乗った場合に株式会社に移行するというプランも考えられるでしょう。
では、設立に当たっては、いくら用意しておけばいいのでしょうか?わかりやすい指標として、設立費用を比べてみました。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款認証費用 | ・定款認証:50,000円 ・印紙税:40,000円(※1) |
・印紙税:40,000円(※1) |
設立登記費用 | ・登録免許税:150,000円 | ・登録免許税:60,000円 |
会社実印等(※2) | 約20,000円 | 約20,000円 |
合計 | 約260,000円 | 約120,000円 |
※1 電子定款による認証の場合は0円となる。
※2 会社実印1万円、会社銀行員印1万円として算定。
なお、この他にも専門家に手続きをした場合など、諸費用がかかります。
サラリーマンが法人を設立する場合、何に気を付けるべきでしょうか。
会社によっては、就業規則で副業を禁止している場合もあります。
この場合、会社に法人を設立したことが発覚してしまうと、就業規則違反として懲戒の対象になる可能性もあるので、十分に注意したいところです。
特に、代表取締役・代表社員になった場合は、住民税や社会保険の加入状況から、副業をしていることが会社に発覚してしまうこともあります。
まずは就業規則を確認しましょう。
就業規則で副業が禁止されている場合、夫婦の共同事業とし、配偶者を法人の代表者として登記する選択肢もあります。
本人の名前を登記しなければ、会社の登記簿謄本にも名前はでません。
そして、役員報酬を配偶者が受け取る形にすれば、本人の住民税への影響もありません。
ただし、この方法を使う場合は、配偶者にも事業内容を把握してもらったり、お金の管理をきっちりしてもらったりなどの配慮が必要になります。
つまり、配偶者が法人の代表者であるという実態を作らなくてはいけません。
名前だけ貸していて、実際の仕事は本人が全部やっているケース(いわゆる「名義貸し」)の場合、税務署が調査に入る可能性もあるので、注意しましょう。
先ほどの就業規則、名義の問題に加え、法人を設立するとなると、やらなくてはいけないことがとても多いです。
サラリーマンとして日中の仕事をしながら、片手間にこなすのは相当大変なボリュームとなっています。
税理士などの専門家をサポーターとしてつけるのがおすすめです。自分一人ではできないことも、全部お任せできるのはやはり心強いでしょう。
また、法人を設立できても、税務署からの問い合わせが来る場合もあるのです。
税務署からの問い合わせは基本的に平日の日中なので、本業を差し置いて対応するのは難しいでしょう。
税理士と契約すれば、税務権限代理をしてもらう形で、問い合わせへの対応を代わってもらうこともできます。
こちらのサイトでは、不動産投資における法人化のタイミングや節税シュミレーションなど、税理士による無料相談が可能です。
・不動産投資に強い税理士に一度相談してみたい
・法人化によってどの程度の節税が可能か相談してみたい
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などなど、どのようなことでもお気軽にご相談可能です。
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