会社設立と不動産投資について。不動産投資で稼いでいる人(=サラリーマン大家さん)が法人化を検討する場合に知っておきたいこと

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不動産投資で稼いでいる人(=サラリーマン大家さん)が法人化を検討する場合に知っておきたい5つのこと

不動産投資と法人化

はじめに

不動産投資である程度の収益をあげられるようになったら、税金対策として法人(=会社)を設立するのも視野に入れたいところです。

しかし、どのラインで法人化を検討すべきなのでしょうか?

そして、そもそも法人化をするにあたっては何をどうすればいいのでしょうか?

わからないことだらけなはずなので、一つ一つ解説していきます!

目次

  • 1.法人化のタイミング
    |-(1-1)どのあたりが分かれ目?
  • 2.法人化による節税効果(相続税対策なども含め)
    |-(2-1)役員報酬を計上できる
    |-(2-2)家族に給料を出しやすい
    |-(2-3)退職金が出せる
    |-(2-4)欠損金を繰り越せる期間が長い
    |-(2-5)生命保険を経費に算入できる
    |-(2-6)相続税対策にもなる
  • 3.法人化のメリット、デメリット
    |-(3-1)法人化のメリット
    |- 3-1-1.対外的な信用度がアップする
    |- 3-1-2.融資・資金調達がしやすい
    |- 3-2-2.社会保険の扱い
    |-(3-2)法人化のデメリット |- 3-2-3.事務負担の増加
  • 4.株式会社・合同会社の比較
    |-(4-1)株式会社とは
    |- 4-1-1.基本
    |- 4-1-2.メリット
    |- 4-1-3.デメリット
    |-(4-2)合同会社とは
    |- 4-2-1.基本
    |- 4-2-2.合同会社のメリット
    |- 4-2-3.合同会社のデメリット
    |-(4-3)株式会社と合同会社の設立費用を比べてみました
  • 5.サラリーマンが法人設立する場合の注意点較
    |-(5-1)就業規則に違反しないか
    |-(5-2)配偶者を法人の代表者にする選択肢もあり
    |-(5-3)まずは専門家に相談

1.法人化のタイミング

法人化のタイミングをいつにすべきかは、個々の事情によって異なる部分もあります。

ここでは「法人税の税率」と「所得税の税率」の2つの観点から、法人化すべきタイミングを検討してみましょう。

1-1.どのあたりが分かれ目?

個人事業主としてビジネスを営んだ場合、所得には所得税・住民税・事業税がかかります。

法人としてビジネスを営んだ場合、所得には法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税がかかります。

ここでは、比較しやすくするために、メインとなる所得税と法人税の税率から、分かれ目となるラインを探りましょう。

最初に、法人税の税率を見てみましょう。

普通法人 全て 23.9%
中小法人 所得が年800万円相当額以下 15.0%
所得が年800万円相当額超 23.9%

最大で23.9%となっています。この数字を踏まえ、所得税の税率も見てください。

課税所得金額(1,000円未満切り捨て) 税率 控除額
以下
- 195万円 5% 0円
195万円 330万円 10% 97,500円
330万円 695万円 20% 427,000円
695万円 900万円 23% 636,000円
900万円 1,800万円 33% 1,536,000円
1,800万円 4,000万円 40% 2,796,000円
4,000万円 - 45% 4,796,000円

注目していただきたいのが、課税所得金額が900万円以上の場合です。

法人税では税率が23.9%となっていますが、所得税では33%となっています。

課税所得金額が900万円を超える場合は、明らかに法人化し、法人税を納めた方が得です。

実際は、後述する節税効果などもありますので、課税所得金額が600万円を超えそうなラインから、法人化を検討し始めるのも一つの選択肢となるでしょう。

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2.法人化による節税効果(相続税対策なども含め)

法人化した場合、節税効果が大きいという話がささやかれています。具体的には、どういう点で節税ができるのでしょうか?ポイントをまとめました。

2-1.役員報酬を計上できる

個人事業主の場合、売上高から経費を差し引いた事業利益に対し所得税が課税されます。

給与や役員報酬という概念はありません。一方、法人の場合は役員報酬を経費に算入できます。

また、役員本人も個人の給与所得控除を利用して節税できるので、さらなる節税効果が見込めるのです。

役員報酬に関して更に詳しく知りたい方は下記を御覧ください。

2-2.家族に給料を出しやすい

個人事業主の場合、家族に給料を出すには「青色事業専従者給与」の届出をしなくてはいけません。

また、この届出を出した時点で、配偶者控除・扶養控除は適用されなくなります。

一方、法人であれば、家族を従業員として雇用し、給与を出すのも常識的な範囲内で自由にできます。

これも経費として算入できるので、結果として節税につながるのです。

2-3.退職金が出せる

法人の場合、5年以上勤務した役員については、退職金についても税務上有利な扱いが受けられます。

役員本人に対しては、退職金から退職所得控除を行い、さらにその半分に対して所得税が源泉徴収される仕組みです。

また、法人に対しても、退職金を会社の経費として算入できるので、さらに節税効果が見込めます。

2-4.欠損金を繰り越せる期間が長い

ビジネスにおいて、収入より経費が多い状態(いわゆる赤字)になった場合、翌期以降に赤字分を欠損金として繰り越せます。

この繰り越せる期間は、個人事業主(青色申告)が3年間であるのに対し、法人の場合は9年間(平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年)となっており、かなり差があるのです。

節税できる期間も当然長くなります。

2-5.生命保険を経費に算入できる

個人事業主が生命保険に加入した場合、支払う保険料は経費に算入できません。

一方、法人になっていれば、保険料を経費に算入できる保険商品を契約することで、節税につながります。

2-6.相続税対策にもなる

個人事業主の場合、事業主が死亡した場合はすべての財産が相続の対象となり、多額の相続税がかかるケースもあります。

一方、法人であれば、会社の所有財産には相続税がかかりません。

ただし、経営者が所有している法人の株式には、相続税がかかるので注意してください。

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3.法人化のメリット、デメリット

税金面以外からの、法人化のメリット、デメリットも考えてみましょう。

3-1.法人化のメリット

次の点がメリットとして考えられます。

3-1-1.対外的な信用度がアップする

個人事業主であっても、ビジネスでの技術・実績を積めば高額な取引はできます。

しかし、金融機関とのやりとり、Webサイトの運用、営業・採用時のネームバリューという点においては、法人の方が有利なのも確かです。

3-1-2.融資・資金調達がしやすい

個人事業主として金融機関から融資を受ける場合、第三者保証人が必要となるなど、条件がかなり厳しいです。

一方、法人の場合、融資・資金調達の方法が幅広く用意されています。

3-2.法人化のデメリット

一方、次のようなデメリットもあることにご注意ください。

3-2-1.赤字でも税金を払わなければいけない

個人事業主の場合、赤字なら税金を払わなくていいです。

しかし、法人化した場合、法人住民税の均等割を必ず払わなくてはいけません。

3-2-2.社会保険の扱い

法人化すると、健康保険・厚生年金保険に加入しなくてはいけません。

保険料は法人と本人が折半するので、従業員が増えれば増えるほど、負担が大きくなることに注意してください。

3-2-3.事務負担の増加

法人化した場合、次の事務負担が増加するので、どう処理するかをよく考えてください。

  • 会計処理
  • 法人税申告
  • 社会保険・労働保険の手続き
  • 登記事項の変更など、会社組織に関する手続き

自分一人でやるのは難しいと思ったら、すぐに専門家を手配した方がいいでしょう。

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4.株式会社・合同会社の比較

会社を設立する場合、一般的には株式会社か合同会社を設立します。両者について比較してみましょう。

4-1.株式会社とは

4-1-1.基本

株主から資金調達をして、経営者が事業を行い、儲けた利益を株主に分配する仕組みを取っている会社です。

株主は、自分が出資した資金の範囲内でしか責任を負いません(間接有限責任)。

4-1-2.メリット

次のメリットが挙げられます。

  • 一般の人からも出資を募りやすい。
  • 資本金は1円からでも設立できる。
  • 取締役会を設置しなければ、1人からでも設立できる。
  • 株式譲渡制限のある会社なら、取締役会は設置しなくていい。

【関連ページ】

株式会社設立のメリットについてはこちらで更に詳しく解説しています。

4-1-3.デメリット

一方、次のデメリットも挙げられます。

  • 会社設立に際し、相応の費用が必要となる。
  • 決算公告の義務があるため、作成・開示にかかるコストがかかる。
  • 役員の任期がある。改選期間を延期することは可能だが、延期可能な期間(10年)を過ぎたら、必ず改選しなくてはいけない(過料の制裁がある)。

4-2.合同会社とは

4-2-1.基本

出資者全員が間接有限責任社員によって構成されている会社です。

この点は株式会社と変わりませんが、株式会社に比べると、定款自治が認められている=自分たちの裁量で決められる部分が大きいため、経営上の自由度が高いのが大きな違いでしょう。

4-2-2.合同会社のメリット

合同会社には、次のメリットがあります。

  • 代表社員1人で設立できる。
  • 株式会社に比べると、設立に必要な費用が安い。
  • 出資者自らが業務執行にあたるため、迅速な意思決定が可能である。
  • 持分会社であるため、会社法に違反しない限り、会社の内部組織を定款で自由に設定できる。
4-2-3.合同会社のデメリット

一方で、合同会社には、次のデメリットがあります。

  • 一般的には、株式会社よりも零細・閉鎖的な組織とみなされがちなため、対外的な信用力は低い。
  • 出資者同士の合議で経営がなされるため、対立が起きた場合、経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。
  • いわゆる社長の名称は「代表社員」となるため、「代表取締役社長」とは名乗れない。

【関連ページ】

不動産投資における合同会社設立のメリットについてはこちらでも詳しく解説しています(合同会社設立ドットネット内。別サイトにジャンプします)。

4-3.株式会社と合同会社の設立費用比較

ここまでの内容を踏まえると、最初は合同会社を設立し、軌道に乗った場合に株式会社に移行するというプランも考えられるでしょう。

では、設立に当たっては、いくら用意しておけばいいのでしょうか?わかりやすい指標として、設立費用を比べてみました。

株式会社 合同会社
定款認証費用 ・定款認証:50,000円
・印紙税:40,000円(※1)
・印紙税:40,000円(※1)
設立登記費用 ・登録免許税:150,000円 ・登録免許税:60,000円
会社実印等(※2) 約20,000円 約20,000円
合計 約260,000円 約120,000円

※1 電子定款による認証の場合は0円となる。

※2 会社実印1万円、会社銀行員印1万円として算定。

なお、この他にも専門家に手続きをした場合など、諸費用がかかります。

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5.サラリーマンが法人設立する場合の注意点

サラリーマンが法人を設立する場合、何に気を付けるべきでしょうか。

5-1.就業規則に違反しないか

会社によっては、就業規則で副業を禁止している場合もあります。

この場合、会社に法人を設立したことが発覚してしまうと、就業規則違反として懲戒の対象になる可能性もあるので、十分に注意したいところです。

特に、代表取締役・代表社員になった場合は、住民税や社会保険の加入状況から、副業をしていることが会社に発覚してしまうこともあります。

まずは就業規則を確認しましょう。

5-2.配偶者を法人の代表者にする選択肢もあり

就業規則で副業が禁止されている場合、夫婦の共同事業とし、配偶者を法人の代表者として登記する選択肢もあります。

本人の名前を登記しなければ、会社の登記簿謄本にも名前はでません。

そして、役員報酬を配偶者が受け取る形にすれば、本人の住民税への影響もありません。

ただし、この方法を使う場合は、配偶者にも事業内容を把握してもらったり、お金の管理をきっちりしてもらったりなどの配慮が必要になります。

つまり、配偶者が法人の代表者であるという実態を作らなくてはいけません。

名前だけ貸していて、実際の仕事は本人が全部やっているケース(いわゆる「名義貸し」)の場合、税務署が調査に入る可能性もあるので、注意しましょう。

5-3.まずは専門家に相談

先ほどの就業規則、名義の問題に加え、法人を設立するとなると、やらなくてはいけないことがとても多いです。

サラリーマンとして日中の仕事をしながら、片手間にこなすのは相当大変なボリュームとなっています。

税理士などの専門家をサポーターとしてつけるのがおすすめです。自分一人ではできないことも、全部お任せできるのはやはり心強いでしょう。

また、法人を設立できても、税務署からの問い合わせが来る場合もあるのです。

税務署からの問い合わせは基本的に平日の日中なので、本業を差し置いて対応するのは難しいでしょう。

税理士と契約すれば、税務権限代理をしてもらう形で、問い合わせへの対応を代わってもらうこともできます。

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