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外国産の安価な農産物が多く輸入され、日本での食料自給率は39%(平成27年度 農林水産省発表)です。
食料自給率というのは、国内で消費される食糧のうち、国産で賄われているのかを表す割合です。つまり、わたしたちの食糧は、約60%は外国にたよっているということになります。
この数字は、長期的に減少傾向にあります。
食料自給率を上げるために、様々な対策が練られています。その中で、農業就業者を増やそうという取り組みがあります。
元々は、家業として代々続いていた農家も、職業選択の自由が広まり、後継者不足が深刻です。そのため、新規参入が行われやすいように、国を挙げての積極的戦略が取られるようになりました。
長年、農家の衰退が取り沙汰されてきたにも関わらず、既存農家の愛着の強さ、仲間意識、昔からの財産意識、農業を取り巻く閉鎖的な環境や悪循環が続いてきました。
この状況を打破すべく、平成24年頃より国を挙げての支援制度が始まりました(青年就農給付金事業)。
開始より5年が経ち、平成29年度に見直しが行われました(農業次世代人材投資事業と改称)。支援事業開始から5年経ち、内容が精査され見直しがされた今こそが、農業参入に適したタイミングなのです。
ここでは、農家を始めるには何が必要なのか。また、行政支援の内容を説明していきます。
簡単ではない農業ですが、経営形態としての「農業」を検討されている方は是非お読み下さい。
起農(農業を起こす)するには、まず「農地」が必要です。
「土地」ではなく「農地」。空いている土地があっても、そこで農業を行うには「農地」として許可を受けなければならないのです。
通常の土地の売買(賃貸)+農地法の許可が必要なのです。農地法の許可は、その土地の市町村にある農業委員会へ申請し、要件が満たされていれば下ります。
農地として認められるには・・・
上記要件が満たされていれば下りる、とは言ったものの、各市町村に置かれている農業委員会は、その市町村の農家が主となり構成されています。
先述した通り、地方によっては他を寄せ付けないコミュニティもまだあり、農地許可がなかなか下りづらいというのも実情のようです。
その中でも、積極的に新規農家を募集している自治体もあり、空き農地情報を提供してくれるところもあります(「農地バンク」など)ので、そういったところで情報収集することが良いでしょう。
また、欠かせないのは「技術」です。今までまったくの異業種で、一念発起農業を始めたとしても、技術が無ければ作物は育ちません。事業としての農家は、家庭菜園の範囲を超えますので、今までの経験では補えない技術が必要となってくるでしょう。
農家を目指すのであれば、農業大学に進学したり、農業準備校のような農業の専門学校に進学というものが一般的です。しかし、そういった学校に行っている時間も生活費も捻出するのは至難の業です。
そういった人を対象に、農業大学等以外にも農業者育成機関があり、近年では国がこういった育成機関を対象に補助金を出すといった政策が為されています。
それ以外にも、実際の農家に研修をさせてもらう方法もあります。この場合は、作物の植え付けから収穫までの1ターン(約1年間)は研修をする計画を立てましょう。
起農した後も、農業改良普及センターや農協や農業委員会等で、情報交換や技術支援などを行ってもらえます。ある一定の技術を習得するには、3年はかかると言います。
一朝一夕では身につかないのですが、得た技術と、今まで培った農業以外での経験を元に改良したりして、新しい事業を展開する農業家も増えています。
新規参入者が農家を始めるときに必要な初期費用は、800万~2000万円と言われています。育てる作物や、設備などで差が出てくるのですが、農家を始めるには想像以上にお金がかかります。
農地の確保、種や苗、ビニールハウス等の設備、耕運機等の機械などが考えられる費用です。また、技術習得でも書きましたが、売れる作物が作れて初めて「収入」を得ることができます。
売れる作物を作れる技術習得に最低でも3年と考えると、その間の生活費等も考慮しなくてはいけません。
ただ、多額の初期投資のせいで、農家への足がかりを減らしてしまうと、ますます農家は減少の一途を辿ります。
それを食い止めるために、色々な資金支援制度を国や地方自治体が用意をしてくれています。
平成24年から開始された「農業次世代人材投資事業」(旧・青年就農給付金事業)といううものがあります。
これには「準備型」と「経営開始型」の2種類があります。新たに農業経営を営もうとする青年等に対して、開始するのに必要な資金を長期的且つ無利子で貸し付けを行う制度です。
未経験からの就農を支援するために、研修を後押しする資金です。
1年で最大150万円の資金が、最長2年受けられます。県農業大学等の農業経営者育成教育機関や先進農家、先進農業法人で、就農に向けて必要な技術習得のために研修を受けます。
<要件>
次世代の農家を目指す人の経営確立を支援する資金です。1年で最大150万円の資金が、最長5年受けられます。経営者としての就農家を支援します。
<要件>
※1 「一農ネット」・・・新規就農者を対象とした農林水産省発信のコミュニティ市町村ごとに置かれている。
※2 「人・農地プラン」・・・人と農地の問題の解決について、今後の中心となる農家を位置づけたり、農地の集積を行うためのマスタープラン。
農家を始めるのにあたり、法人を設立した方がいいのか?と検討される方も多いかと思います。
個人でも法人でも、儲けが出ないと一緒のことなのですので、その点はそれぞれの状況に応じて選んでいけばいいです。
ただし、法人設立を検討するのであれば、法人形態をどのようにするかをよく検討することが非常に重要になってきます。
その地域の農家の状況や、地域の環境、資金、または将来的な経営の発展や事業展開によって決めていく必要があります。
農業法人とは、農業を営む法人の総称です。
医療法人や学校法人のように法的に定められた名称ではなく、農業に関する法人が任意で使用できるものです。
この農業法人は「農事組合法人」と「会社法人」とに分けることができます。
「農事組合法人」は組合員で構成されるもので、その組合員の共同の利益を目的として設立するものです。営利法人と公益法人の間のようなものなので「中間法人」と呼ばれています。
株式会社や合同会社などは、会社法に規定されたもので、営利を目的とした法人ということで「営利法人」と呼ばれます。
農業法人の中でも、農地取得の権利がある法人を「農地所有適格法人」といいます。農地を所有(売買)することができる法人のことです。
「所有適格の法人」だと認められるには、要件があります。
農地を使用せず農業を行う場合、又は、農地を借りて農業を行う場合には、農地所有適格法人の要件を満たす必要はありません。
法人か個人かという問題は、農業だけに限らず自営業の人は考えることだと思います。
しかし、法人にすると決めているのであれば、「農地所有適格法人」にすることを大前提に置いたほうがよいでしょう。なぜなら「農地適格法人」になれば、とても優遇された融資制度を受けることができるからです。
融資制度だけでなく、税制面での優遇や、課税の特典を使うことができます。
農業法人を営めば、自然に上記のような特典を受けられるわけではありません。将来的な発展が見込める農家かどうか、発展させるにはどういった計画を立てるか等、長期的に努力をする必要があります。
また、将来的に要件を満たせなくなりそうな法人は農地を所有することができません。
農地所有適格法人の設立を目指すには、定款作成時のような設立初期ぐらいには市町村の農業委員会や関係機関へきちんと計画相談をすることをおすすめします。
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