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会社の住所を変更した場合の手続きの中で代表的なものといえば、法務局への「本店移転登記」ですが、会社組織の場合、変更登記申請をすればそれで手続きが完了というわけではありません。
法務局の他にも、税務署、都道府県税事務所、市税事務所などの税関係の届出に加えて、年金事務所や労働基準監督署など社会保険関係の役所への届出も行わなければなりません。
さらには、取引先・契約先などへの案内も必要になるでしょう。
これらの手続き、案内を漏れることなく効率よく行うためには、必要となる手続きのリストアップが不可欠です。
当ページでは、株式会社及び合同会社が会社の住所を移転した場合に必要となるであろう行政手続き、その他営業関連手続きを網羅しておりますので、チェックリストとしてご活用いただければと思います。
《参考》登記事項証明書(登記簿謄本)について
法務局での本店移転登記完了後、変更後の登記事項証明書(登記簿謄本)を入手することができます。
登記事項証明書は、税務署、年金事務所、ハローワークなどの各役所への届け出に必要になる他、銀行口座の住所変更やクレジットカードの登録情報変更などにも必要となる場合がありますので、事前に各窓口に確認しておけば、必要通数も把握しやすくなります。
登記事項証明書を無駄に取り過ぎても手数料が無駄になるだけですから、窓口への事前確認が必須です。また、当ページに各手続きの必要書類を掲載しておりますので、参考にしてください。
※役所の管轄や民間各社によって必要通数等が異なりますので、最終的には各窓口に直接お問い合わせください。コピーで可のところも多いです。
それでは、さっそく見ていきましょう。
会社を移転した日から2週間以内に法務局へ変更登記申請を行います。
法務局の管轄が変わる移転であれば、申請先は旧住所を管轄する法務局に新住所を管轄する法務局の申請書も同時に提出することになります。新住所を管轄する法務局で新しい印鑑カードを発行する手続きも忘れないよう行いましょう。
(必要書類例)変更登記申請書、株主総会議事録、取締役会議事録、印鑑届書、印鑑カード交付申請書等
【関連ページ】
法務局で変更登記が完了したら、速やかに税務署に異動届を提出します。異動届の他、消費税異動届出、給与支払事務所等の移転届の提出が必要です。
平成29年4月1日以後に移転した場合は、異動前の税務署へ届出書等を提出するだけでよく、異動後の税務署へ提出する必要はなくなりました。
(必要書類例)異動届、所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書、登記事項証明書
地方税に関する法人等異動届出書を提出します。概ね登記事項証明書を添付しますが、異動届出書の様式や提出期限は都道府県によって若干異なりますので、会社を管轄する都道府県税事務所で詳細を確かめてください。
役所のホームページから様式がダウンロードできるようになっているところもあります。尚、移転によって税事務所の管轄が変わる場合は、変更前と変更後の両方に届出が必要です。
(必要書類例)異動届、登記事項証明書
地方税に関する法人等異動届出書を提出します。概ね登記事項証明書を添付しますが、異動届出書の様式や提出期限は市区町村によって若干異なりますので、会社を管轄する市区町村役所で詳細を確かめてください。
役所のホームページから様式がダウンロードできるようになっているところもあります。
尚、移転によって市区町村の管轄が変わる場合は、変更前と変更後の両方に届出が必要です。
(必要書類例)法人等異動届出書、登記事項証明書
会社名を変更した日から5日以内に年金事務所へ所在地変更届を提出します。
5日以内にとなっていますが、法務局で登記が完了しないと登記事項証明書が取得できませんので、5日を過ぎた場合は速やかに手続きを行うようにしましょう。
様式は年金事務所のホームページからダウンロードできます。尚、移転によって年金事務所の管轄が変わる場合は、変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。
(必要書類例)健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届、登記事項証明書
会社名を変更した日の翌日から10日以内に労働基準監督署へ所在地変更届を提出します。労働基準監督署へは郵送でも受け付けてくれますが、用紙が複写式になっているため、先に用紙をもらいに窓口へ出向かなければなりません。
移転によって労働基準監督署の管轄が変わる場合は、新しい住所を管轄する労働基準監督署へ提出します。都道府県をまたいだ移転の場合は必要書類が異なりますので注意してください。必要書類は、新しい住所を管轄する労働基準監督署へ提出します。
(必要書類例)労働保険名称・所在地等変更届、(都道府県をまたぐ場合)労働保険関係成立届、労働保険慨算保険申告書、労働保険確定保険申告書
会社名を変更した日の翌日から10日以内にハローワークへ所在地変更届を提出します。
移転によってハローワークの管轄が変わる場合は、新しい住所を管轄するハローワークへ提出します。
先に労働基準監督署に「労働保険名称・所在地等変更届」を提出した後で行う必要があります。また、都道府県をまたいだ移転の場合は先に労働基準監督署に「労働保険関係成立届」を提出した上で提出する必要があります。
(必要書類例)給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書、登記事項証明書
従業員の支払う住民税は会社が給与から天引き(特別徴収)して市区町村へ納めているため、給与支払者(会社)の住所を変更した場合は、従業員の住んでいる市区町村へ変更届を提出します。役所のホームページから様式がダウンロードできるようになっているところもあります。
(必要書類例)給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書、登記事項証明書
金融機関によって住所変更するための必要書類が異なりますので、事前に窓口や金融機関のホームページで確認しておきましょう。
基本的に取引店舗の窓口で手続きをする必要がありますが、インターネットバンキングを利用している場合は、ネット受付&必要書類を郵送することになります。
金融機関からの郵便物は「転送不要」として新住所に転送されないこともありますので、必ず手続きを行うようにしましょう。
(必要書類例)通帳、口座の届印、登記事項証明書、本人確認書類
日本政策金融公庫から融資を受けている場合は、本店所在地を変更したときには公庫所定の変更届により報告が必要ですので、忘れないようにしましょう。日本政策金融公庫のホームページから用紙がダウンロードできるようになっています。
(必要書類例)本店所在地の変更届、登記事項証明書、印鑑証明書
法人名義のクレジットカードを持っている場合は、クレジットカード会社へ住所変更を行います。
必要な書類は、各クレジットカード会社のホームページやマイページで確認できます。クレジットカード会社によってはオンライン上で変更することもできます。
クレジットカード会社からの郵便物は「転送不要」として新住所に転送されないこともありますので、必ず手続きを行うようにしましょう。
(必要書類例)登記事項証明書、法人印鑑証明書
店舗やテナントを賃貸契約している場合、不動産管理会社や家主に退去の連絡をしますが、事前に賃貸借契約書に記載されている解約予告期限を確かめておきましょう。
賃貸の退去届(解約届)を出すタイミングによっては、新オフィスと家賃を2重で支払うことになりかねません。移転スケジュールは移転希望日から逆算して作成するとよいでしょう。
公共料金(電話、電気、ガス、水道)へ停止と開始の手続きを行います。
基本的に電話またはインターネットで移転手続きが可能です。会社を移転する旨を伝えて必要事項に答えていけば自動的に進めてくれます。ガスは開栓時に立会いが必要です(場合により閉栓作業時も必要です)。
移転する2週間前には手続きを行う方がよいでしょう。
固定電話があれば、電話番号を変更するのと合わせて電話移転(番号変更)の案内サービスを申し込みましょう。
旧の電話番号に電話がかかると移転先の電話番号を案内するアナウンスが流れます。費用は無料でインターネットのホームページから申し込むことができるので便利です。
携帯、PHS、IP電話、インターネットプロバイダの契約者情報を変更しましょう。
各サービス提供事業者へ電話やインターネット、ショップ窓口で手続きが行えます。必要書類はサービス提供事業者ごとに異なりますが、概ね、登記事項証明書、本人確認書類が必要になります。詳細は各サービス提供事業者に確認してください。
会社で契約しているプロバイダ、インターネット回線の移転手続きが必要です。
契約先のプロバイダや契約しているサービス内容によってネット上で手続きが完了することもあれば、書類を書いて郵送するところなど様々です。
また、移転の時期によっては数週間かかることもあります。手続きは余裕を持って行いましょう。
コピー機、複合機などの設備をリース契約している場合は、リース会社への連絡が必要です。
リースしている物は所有権がリース会社にありますので勝手に場所を移動させることはできません。
移転場所によってはリース会社が運んでくれる場合もありますが、精密機器ですので自分達で運ばずに専門業者に任せるのが一番です。
団体保険、経営者保険、自動車保険、企業年金など会社が契約している保険があれば、契約内容の変更手続きを行いましょう。
保険会社の担当者や取扱代理店、インターネットホームページから手続きに必要な書類を請求します。
必要書類は各保険会社によって異なりますが、概ね、登記事項証明書、本人確認書類が必要になります。詳細は各保険会社に確認してください。
車検証に自動車の所有者の住所が記載されていますので、所有者の住所変更を行います。
まずは移転先の車庫証明書を取得しなければなりません。車庫がおりたら、管轄の運輸支局へ車庫証明書・車検証・登記事項証明書・法人の印鑑を持参のうえ手続きを行ってください。
ただし、リースやローンの支払いが終わっていない場合は、所有者がリース会社・ローン会社になっていますので、この場合は所有者からの委任状が必要になります。
リース会社等へ連絡して委任状をもらってください。
また、自賠責保険の住所変更の手続きも忘れないようにしましょう。
例えば会社が建設業の許可を受けている場合、移転をしてから30日以内に変更届が必要です。
変更届出書・登記事項証明書・営業所の写真などを許可を受けている窓口へ提出します。
同じように労働者派遣事業でも30日以内に変更届出書を提出しなければなりません。
許認可の種類によって定められた様式があり、必要書類や手数料が異なります。また、届出・申請期限もありますので、予め許認可を受けた先の役所へ確認してください。
郵便局へ転居届を出しておくと1年間新住所に無料で郵便物を転送してくれるサービスを受けることができます。
移転後でも申し込みできますが、届出日から実際に郵便物の転送開始まで数日かかりますので、なるべく移転前に手続きを終えるようにしましょう。
転居届の用紙は近くの郵便局の窓口でもらえますし、インターネットからでも申し込むことができます。
取引先に送る挨拶状は郵送かFAXで送付する場合がほとんどです。
取引先の請求書や納品書などの送付先を変更してもらう必要があるため、移転することが決まったらなるべく早めに先方にお知らせしたほうがよいでしょう。
事前に送り先をリストアップしておくと後から混乱することがないと思います。また、Amazon・ASKUL・楽天などのネットショップの会員情報・納品先を変更しておきましょう。
取引先と契約書を交わしている場合、住所を変更したからといって改めて契約書を作成し直す必要はありませんが、取引先には連絡するのがマナーです。
特に契約内容として契約者情報に変更があった場合は通知する義務があると規定している場合は、必ず通知しなければなりません。
また、契約内容によっては覚書を交わす必要も生じてきますので、事前に契約内容を確認しておきましょう。
名刺、会社案内、パンフレット、社用封筒等各種印刷物の変更、伝票(納品書、請求書、見積書、領収証等)や書類送付表などに記載されている会社住所の変更、ホームページの住所変更。
また、会社のゴム印(社判)の作成も忘れないように手配しましょう。事前に手配しておいて、移転日から使えるようにしておくのがベストです。
会社の住所変更にかかる費用は、法務局へ納める登録免許税が3万円かかります。
法務局の管轄が変わる移転であれば、新しい管轄の法務局へ登録免許税が3万円かかりますので、合計6万円になります。
会社の所在地によって法務局の管轄が決まっていますので、管轄の法務局の窓口へ移転の申請をする必要があります。
旧住所と新住所を管轄している法務局が変わる場合、例えば東京都中央区から埼玉県へ移転するなどの場合は、新旧両方の法務局へ手続きが必要になります。
オフィス移転にかかる費用は、原状回復費用・日割り家賃・日割りの公共料金などの退去する際にかかる費用と引越しそのものにかかる費用、新オフィスの契約・レイアウト・インフラ設備などにかかる費用の3つに分けられますが、会社の規模や移転時期によっても大きく変動します。
インターネットで概算費用がシュミレーションできるサイトがありますので、チェックしてみればだいたいの費用相場がわかります。
事前に業者に見積依頼をして計画的に進めていきましょう。
会社の住所を変更する場合は、あらかじめ移転先の住所に同一の商号(会社名)が登記されていないかどうか確認しておく必要があります。
なぜなら、同一の住所に同一の商号(会社名)は使用できないからです。
移転先が一軒家であったり小規模ビルであれば同じ会社名が存在する可能性は低いですが、移転先が大規模ビルや大型商業施設など複数のテナントが集まっている場所であれば、事前に商号調査を行った方が確実です。
また、会社が「許認可」を受けている場合は、事前に許認可を受けた窓口へ会社移転に伴い何か手続きが発生するのか、問い合わせた方がよいでしょう。
許認可の種類によっては「事前に役所の許可を取ってからでないと変更できない」場合があります。
例えば、NPO法人が所轄庁の変更を伴う移転をする場合は、事前に所轄庁の認証を受ける必要があります。
認証後に発行される認証書がなければ、法務局に登記申請を行うことができませんので、注意してください。
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