合同会社から株式会社への組織変更手続きの概要

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合同会社から株式会社への組織変更手続き【Q&A形式でわかりやすく解説】

合同会社から株式会社

当記事は、合同会社から株式会社への組織変更手続きについて詳しく知りたいという方に向けて、作成しています。

ご理解頂きやすいように、なるべく専門用語を使わずに、Q&A形式で解説をしておりますが、合同会社から株式会社への組織変更を行う場合に必要となる手続きや必要書類、手続き上の注意点などはすべて網羅しておりますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

組織変更のメリット・デメリットなども合わせて掲載しております。

それでは、どうぞご覧くださいませ。

【目次(もくじ)】


合同会社から株式会社への組織変更はすぐにできますか?

残念ですが、すぐには変更できません。

債権者保護公告という会社法に規定されてる手続きを必ず踏まななければなりませんので、最短でも1ヶ月以上は掛かります。

「出資者」=「経営者」である合同会社と、「出資者」≠「経営者」である株式会社では、会社のそもそもの成り立ちが異なります。

まったく異なる法人形態ですのに、いきなり合同会社から株式会社に変わっていたら取引先も驚きますよね。この会社と取引を続けて大丈夫なのか、、と。

主要取引先や資金調達を行っている場合は金融機関等の利害関係者には、事前に合同会社から株式会社へ組織変更を行いますという通知を行う必要があります。

具体的には、合同会社の債権者を保護するため、会社が把握している債権者に「株式会社へ変更するので、異議があれば申し出てください」

という内容を通知します。

これを「催告」といいます。

そして催告とは別に、株式会社へ組織変更することを全国へ広く知らせるために、官報へ組織変更の公告を掲載します。

官報は、国が発行している新聞のようなものです。官報販売所という所に掲載の申し込みを行います。

官報公告は、例え債権者が一人もいない場合でも省略することができない絶対に必要な手続きです。

この公告への掲載は最低1ヶ月間と期間が決められていますので、合同会社から株式会社への組織変更は、最短でも1ヶ月半はかかることになります。

官報公告掲載の申込みをしてから実際に掲載されるまでに約2週間掛かりますので、掲載期間の1ヶ月を合わせると約1ヶ月半を要することになります。

債権者保護公告期間中に、債権者から組織変更に対して異議を申し出された場合は、債権者に対して弁済をするか、弁済に相当する担保を提供するか、財産を信託しなければなりません。

実務上では、株式会社へ組織変更することに債権者から異議があることはほぼありませんが、利害関係者には事前に組織変更をする旨お知らせをしておくと、手続きに進みます。

合同会社から株式会社への組織変更は時間がかかるし思ったよりも面倒だなと思われたかもしれませんが、取引先への周知徹底は常識の範囲内で行わなければならない手続きでもありますし、他のQ&Aにもございますが、合同会社から株式会社への組織変更を行うメリットは多数ありますので、多少時間がかかろうとも、正式な手続きを踏むようにしましょう。

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組織変更計画書とはなんですか?

組織変更を行うにあたり、必要な事項をまとめた計画書です。

合同会社から株式会社に組織変更をする際には、どういった株式会社に変更するのか、予め決めておかなければならない事項があります。

これらの必要事項をまとめたものが「組織変更計画書」です。

<組織変更計画書の記載事項>

・株式会社の目的
・株式会社の商号
・本店の所在地
・発行可能株式総数
・組織変更後の株式会社の定款で定める事項
・取締役の氏名
・会計参与の氏名(会計参与設置会社である場合)
・監査役の氏名(監査役設置会社である場合)
・会計監査人の氏名(会計監査人設置会社である場合)
・合同会社の社員が組織変更に際にして取得する組織変更後の株式の数又はその数の算定方法
・上記株式の割当に関する事項
・合同会社の社員い対してその持分に代わる金銭等を交付するときはその内容
・上記の金銭等の割当に関する事項
・効力発生日

この組織変更計画書については、合同会社の社員全員の同意を得なければなりません。

《参考》総社員の同意書&組織変更計画書の書式・雛形

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手続きに必要となる費用を教えてください。

登録免許税と債権者保護公告費用で合計10万円程かかります。

まず、組織変更にあたり必要な登録免許税が合計6万円かかります。

・合同会社解散の登記にかかる登録免許税:3万円
・株式会社設立の登記にかかる登録免許税:3万円(※)

※株式会社設立の登記にかかる登録免許税は、資本金の額に1000分の1.5を乗じた額です。この金額が3万円未満の時は、一律3万円となります。

また、合同会社の債権者を保護するため、官報へ組織変更の公告を掲載しなければなりません。

こちらは、官報販売所へ掲載を申し込むのですが、新聞と同じように1行につき単価が設定されていますので、掲載行により前後しますが、3万5000円~4万円程度になると思います。

登録免許税と組織変更公告費用の合わせて10万円程になります。

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組織変更に必要な書類にはどんなものがありますか?

下記のような書類が必要になります。

・合同会社の組織変更による株式会社設立登記登記申請書
・別紙(登記すべき事項)
・株式会社の定款
・組織変更計画書
・総社員の同意書
・役員の就任承諾書
・役員の選定に関する書面
・債権者保護手続関係書面
・印鑑届書
・役員に就任する者の本人確認書類(印鑑証明書等)
・登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書
・組織変更による合同会社解散登記申請書

その他、組織変更後の株式会社の機関設定によって、必要な書類が変わってきます。

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合同会社から株式会社への変更と同時に、本店移転を行いたいのですが、できますか?

組織変更と本店移転は同時には行えません。

本店移転を行う場合、組織変更の前後どちらかに行う事になります。

組織変更を優先させたいのであれば、本店移転は組織変更が終わった後に、本店移転を優先させたいのであれば、組織変更の前に行います。

どちらが先でも費用(登録免許税)に変更はありません。組織変更に6万円、本店移転に3~6万円かかります。

手続きの簡便さで言いますと、組織変更前に本店移転を行う方が、作成する書類が少なくて済みます。

変更登記申請中に、次の変更登記申請はできませんので、登記が完了してから(だいたい申請日より1週間から10日ほど)、次の登記申請を行うことになります。

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組織変更と同時に変更できる事項はありますか?

商号・事業目的などが同時に変更できます。

同時に変更を行っても、必要となる登録免許税に変わりはありません。合同会社から株式会社への組織変更に必要となる登録免許税の範囲内での変更が可能です。

組織変更と同時に変更できるものは、下記事項があります。

商号:全く異なる商号にしてもOK
目的:合同会社の目的をそのまま使用しても、追加・変更してもOK
役員:合同会社の役員が株式会社の役員になっても、役員を追加してもOK

組織変更は、手続きとしては、「合同会社の解散と株式会社の設立申請」を同時に行うことになりますので、株式会社の設立に伴い、株式会社の「定款」を作成しなくてはなりません。

この定款の内容に含まれる項目は、1から考えなおしてもいいということになります。

株式会社への組織変更が終了した後に、商号や目的、役員を変更する場合は、通常通り登録免許税が掛かってしまいますので、これを機に、変更する予定がある場合は変更をしてしまう方がお得です。

ただし、増資や本店移転(管轄内・管轄外問わず)は同時に行うことができませんので注意が必要です。

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合同会社から株式会社へと変更する日(効力発生日)はいつになりますか?

組織変更計画で定めた「組織変更の効力発生日」となります。

組織変更をするには、予め組織変更計画書を作成しなければなりません。

合同会社から株式会社へ組織変更する日は、この組織変更計画で定めた「組織変更の効力発生日」です。

通常の株式会社設立の場合は、法務局へ設立登記申請を行った日がその会社の設立日になりますが、株式会社への組織変更の場合は、登記が効力発生要件にはなりません。

株式会社へ組織変更する登記のことを正式には「合同会社の組織変更による株式会社設立登記」といいますが、本来の株式会社の「設立登記」とは意味が異なります。

「組織変更の効力が発生した後に法務局へ登記を行う」という流れになります。

尚、会社成立の年月日はそのまま引き継がれますので、組織変更の効力発生日をいつにしようとも、合同会社を設立した日は変更されません。

登記簿謄本には、「◯月◯日合同会社◯◯を組織 変更して設立」と登記されます(「◯月◯日」は効力発生日です)。

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組織変更に際して注意することはありますか?

役員任期が設定されることと、決算公告をしなければならなくなることです。

合同会社では、役員に任期はありませんでしたが、株式会社では役員に任期が設定されています。

取締役は2年、監査役は4年の任期ごとに、法務局へ役員変更の登記を行わなければなりません(非公開会社においては、役員任期を10年に伸ばすことができます)。

同一人物が引き続き役員に就任する場合も同様に役員変更の登記を行う必要があります。

役員任期が設定されたことを知らず、気付いた時には既に任期が切れていたということもよくありますので、注意してください。

また、合同会社では義務ではなかった決算公告が株式会社では義務付けられています。定款で定めた方法で、決算期ごとに貸借対照表等を公告しなければなりません。

多くの中小会社では決算公告をしていないのが現状ですが、他社がしていないからと言ってしなくて良いわけではありません。

役員任期が切れて変更登記をしていなかった場合も、決算公告をしていなかった場合も、どちらも過料が発生する可能性がありますので、注意してください。

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債権者が一人もいないのですが、債権者の保護手続きは必要ですか?

債権者が一人もいなくても絶対に必要な手続きです。

債権者保護手続きは、会社が把握している債権者へ個別に通知する催告と、官報への組織変更公告の2つの手続きを行わなければなりません。

個別の催告は会社の債権者へ直接通知しますので、債権者が一人もいなければ省くことができますが、官報への組織変更公告は、債権者が一人もいなくても省くことはできません。

また、登記する際に官報を申請書に添付しなければいけませんので、官報がなければ登記が却下されます。

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債権者から異議を申し立てられた場合どうすればよいでしょうか?

債権者に対して弁済等をしなければなりません。

債権者とは、会社がまだお金を支払っていない取引先や、お金を借りている銀行など、会社に対して何らかの「債権」を持っている者です。

債権者が法人、個人であってもお金を支払い終えていないのに、株式会社へ変更するのは反対だという異議を申し立てられた場合には、相応の対応が必要です。

具体的には、債権者へ弁済をすること、未払いの金額相当の担保を取引先へ提供すること、財産を信託会社へ信託することです。弁済できる金額であれば、弁済すれば問題ありません。

尚、債権者から異議があった場合でも、組織変更をしてもその債権者を害するおそれがない場合(例えば、会社の資力から弁済できることがあきらかな場合)は、弁済等行うことなく、組織変更ができます。

債権者保護手続きを行い、期間内に異議がなければ、債権者から組織変更を承認されたことになります。

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法務局に届け出ている法人実印は変更した方がよいでしょうか?

変更されることをお勧めします。

合同会社で使っていた印鑑をそのまま株式会社で使うことも可能ではあるのですが、お勧めは致しません。

会社の実印(法人実印)には、外枠に会社名が彫刻されています。組織変更後に株式会社に変わっているにも関わらず、外枠が合同会社のままでは契約の相手方などに不審に思われてしまう可能性があります。

印鑑一つで信用を毀損したり、商談が流れてしまったりしては本末転倒です。ですから、弊社では組織変更と同時に「株式会社」の実印を新たに作成されることをお勧めしております。

今は法人実印といってもインターネットで購入すればさほど高価なものでは無くなりました。品質もよくて定価で販売しているものもあります。

前述の通り、合同会社の実印をそのまま使用することも可能ですが、印鑑カードは引き継げませんので、新しい印鑑カードの発行手続きは必要になります。

なお、弊社でも法人印の販売を行っておりますので、ご入用の際は、ぜひご活用ください。品質重視で最短即日での発送も可能です。

行政書士法人MOYORICの法人実印作成サービス

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組織変更手続きは自分で行えますか?

管轄の法務局へ何度か足を運ぶ余裕と時間があるようでしたら、ご自身で手続を行うことは可能かと思います。

ただ、組織変更手続きは決して簡単な手続きではありません。

まずは、当サイトやインターネットの情報、書籍で情報収集を行います。そして、必要書類を入手、作成し、申請手続きという流れになります。

組織変更を行うには法定されている多くの書類を作らなければなりません。

作成した書類を一度管轄の法務局でチェックしてもらい、おそらくそこで修正指示が入るかと思いますので、書類を作り直してまた足を運んで、ということを何度か行うことになろうかと思います。

このように、時間に余裕があれば、自分でも手続きができないわけではありませんが、組織変更手続きはその他の変更手続きのように、何度も行うような類の手続きではありません。

会社経営をする中で一度あるか無いかの手続きです。

組織変更手続きで得た知識は再現性に乏しいことから、ご自身で手続きを行い、多くの時間と労力を割くことは得策とは言えません。

必要に応じて専門家に依頼すれば迅速かつ確実に手続きを終えることができます。とは言え、それなりの報酬が必要となりますから、予算が無いという場合は、こちらの書式集をご利用頂ければと思います。

自分でできる!合同会社から株式会社への組織変更キット

弊社でももちろん手続きの代行をさせて頂いておりますので、ご予算とマッチする場合は、ぜひ、ご依頼を頂ければと思います。

迅速、確実な手続きをお約束致します。

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合同会社から株式会社への組織変更:メリット・デメリット

メリット

最大のメリットは、圧倒的な知名度を得ることができるという点です。

合同会社と株式会社は同じ営利法人であり、税金区分も同じです。行える事業にも差異はありません。

節税対策上も特に異なる点はありません。

残念ながら、日本では合同会社の知名度はまだまだ低い傾向にあります。

顧客や取引先から「合同会社って何をしている会社なのか分からない」と言われてしまったという話しを、合同会社の経営者様からよく伺います。

知名度の理由から、「求人を募集しても人材が集まりにくい」ということもよく仰っています。

もっとも既に知名度がある大企業であれば合同会社と株式会社などの区別は気にならないのでしょうが(超有名企業のAppleやGoogle、アマゾン、西友などは合同会社です)。

この点、株式会社がどんな法人か分からないという人はほどんどいないでしょう。

中小企業であれば、「株式会社」というブランドがあるだけで、安心される側面があるのは事実です。

その他のメリットとしては、出資を募りやすいという点、上場を目指せるという点です。

株式会社にすることで経営に携わらない第三者からも出資を募ることができるようになりますので、資金繰りの改善や自己資本の積み上げ等が行いやすいというメリットがあります。

※合同会社は、株式会社のように経営と所有が分離しておらず、原則として出資を行う場合は経営も行わなければなりません。

このような理由からも、将来、上場することも視野に入れているのであれば、株式会社であることは必須条件となります。

株式市場への上場は株式会社しかできません。

デメリット

手続き上のデメリットは、費用が発生することと、期間を要することです。

株式会社へ組織変更する際に必ずかかる法定実費は、

  • 登録免許税 6万円
  • 債権者保護手続き(官報公告・債権者への催告)約3万5000円~4万円

です。

この2つの費用は必ず掛かりますので、最低でも約10万円は費用が発生するということになります。

決して小さくない金額ですが、ここで確認です。

合同会社を設立する時にいくら費用がかかりましたでしょうか?

電子定款にしていれば、登録免許税の6万円+電子定款作成費用で設立できたはずです。

合同会社の設立時にかかった費用を約6万円として、上記費用10万円と合わせ16万円で株式会社ができるということになります。

もし最初から株式会社を設立していたとすると、電子定款にしていても法定実費だけで20万円は必要ですので、最初から株式会社を設立するよりも費用をおさえられる結果になります。

もちろん、これはすべての手続をご自身でされた場合、実費面のみでの比較ですので、専門家へ手続きを依頼する場合は、別途費用がかかります。

もう一つの手続き上のデメリットは、変更するための期間が長いということです。

組織変更する際に必要な官報公告(組織変更公告)は、1ヶ月以上掲載しなければなりません。公告申し込み後、実際に掲載されるのは約2週間先です。もちろん掲載された日から1ヶ月以上の期間を要します。

つまり最低でも1ヶ月半から2ヶ月、会社の規模や債権者の数によっては3ヶ月以上の期間を要する可能性があります。

その他、手続き面以外でのデメリットとして、以下が挙げられます。

  • 役員任期が設定される
  • 毎年決算公告をしなければならない

株式会社では、取締役は2年以内、監査役は4年と任期が決められているため、数年おきに役員の改選と法務局へ役員変更の登記をしなければなりません。

非公開会社であれば、定款において任期を最長10年まで伸ばすことができますが、同じ人が再選されたとしても、任期ごとの登記は必要なため、その度に数万円程度の費用が発生します。

また、株式会社には、決算期ごとに貸借対照表等を公告する義務があります。

これを決算公告といいます。決算公告は、定款で定められた方法で行いますが、官報に公告すると定めているのが一般的です。

官報への決算公告料金は、最低2枠で72,978円(平成30年5月現在)。これが毎年のランニングコストになると思うと、高いですね。

もっとも、多くの中小企業が決算公告を行っていないという実情もあるのですが、、義務なのですから、必ず行う必要があります。

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合同会社から株式会社への組織変更手続きの流れを詳細に解説!

組織変更とは、新しい株式会社を設立し、合同会社を解散させる手続きです。

この手続きは、1.組織変更計画書を作成し、2.その組織変更計画書について総社員の同意を得て、3.債権者の保護手続きを行い、4.組織変更計画書で決めた組織変更の日を迎え、5.組織変更の登記を申請する、という流れになります。

それでは、それぞれのステップについて、詳細を見ていきましょう。

STEP1

「組織変更計画書」を作成する

まずは、「組織変更計画書」を作ります。

合同会社から株式会社への組織変更は、合同会社を一度解散し、株式会社を新しく設立し直すイメージを持ってください。

新しく作る株式会社の概要を決め、書類に起こさなければなりません。これが、組織変更計画書です。

どんな社名にしようか、どんな事業を行おうか、取締役は誰にしようか・・・等、株式会社の骨組みを作っていきます。

①事業目的

合同会社時に掲げていた事業目的を変更することができます。会社を運営していくと、この事業を新しく始めたい、や、この事業は今後一切行わないだろうな、という項目が出てきます。株式会社にするときには、実情に合わせて、目的の追加や削除、変更等を自由に行うことができます。ただし、新しい株式会社での事業目的が、元の合同会社と全く関係ないものとなることに難色を示す法務局もありますので、ひとつぐらいは残しておくほうがいいでしょう。

②商号

合同会社◯◯を、株式会社◯◯(「株式会社」は前でも後ろでもOK)と商号が変更になります。その際、「◯◯」の箇所を思い切って「△△」と、全く違う商号にしてしまうこともできます。合同会社時代の商号の名残が全くない会社様もいらっしゃいますので、心機一転の気持ちで株式会社を興すこともできます。

③本店の所在地

最小行政区画で記載します。東京都であれば、東京都◯◯区まで。神戸市あれば、兵庫県神戸市、などです。組織変更の時には、事業目的も商号も一新することができますが、管轄の法務局が変わってしまう本店移転は、一緒に行うことができません(同じ管轄内であれば、本店移転も行えます)。もしも、株式会社を別の法務局管轄で設立したいとお考えであれば、組織変更か管轄外本店移転のどちらかを先に行い、その登記が完了してから、もう一方の登記を行わなくてはなりません。

④発行可能株式総数

株式会社を興す訳ですから、株式が発生することになります。株券を実際に発行する必要はありませんが、この株式会社が発行できる株式の上限はいくらかを最初に決めておかなくてはなりません。株式の数=資本金の額となるので、将来的に資本金の額を上げる(増資)ことも考慮して、あらかじめ多めに設定しておくことがよいでしょう。

⑤これら以外に定款で定める事項

これは、組織変更計画書と一緒に、定款を添付することで補えます。「色々決めたことがあるけれど、詳しくは定款を付けるのでそれを見て確認してね」ということです。

⑥取締役の氏名

合同会社の場合は、出資者=社員(従業員ではない)でした。つまり、経営も実務も社員が全て責任を持っています。株式会社になると、出資者(株主)と、実際の業務を取りまとめ行う者(取締役)とが、別々にすることもできるようになります。一般的な中小企業の場合は、株主=取締役という会社も多いですので、実情に合わせて、株式会社の取締役を決めていきます。合同会社では社員であった人が、株式会社では取締役にならないこともあります。

⑦組織変更後の発行株式数

合同会社では、株式という概念はなく、出資金額=資本金額でした。株式会社にするにあたり、1株あたりの価額を決め、合同会社の資本金と合わせていきます。例えば、100万円の資本金であった合同会社であれば、1株=1万円であれば100株を発行することとなりますし、1株=10万円とするなら10株を発行することとなります。ここでの注意点は、資本金の増額をすることはできないという点です。組織変更するにあたり、資本金もアップを一緒にとお考えられる方もいらっしゃいますが、同時に行うことができません。これも、組織変更か増資をどちらか先に終えてから、もう一方の申請をしなくてはいけません。

⑧組織変更後に合同会社の社員に割り当てに関する事項

合同会社で出資をしていた社員に対して、株式会社での株式を割り当てることになります。合同会社時に出資等で持分があった社員は、株式会社の取締役になる必要はありませんが(もちろん取締役に就任することもできます)、株主としての権利は必ず発生します。株主は登記事項ではないので、登記簿謄本に名前が載ることはありませんが、株主としても会社に関わらないようにするのであれば、株式会社に組織変更をした後に、株式を譲渡する手続きを行う必要があります。

⑨効力発生日

いつから株式会社としての効力を発生させるかを決めます。合同会社が無くなり、株式会社が設立される日付です。会社の設立年月日は合同会社を設立した日付になりますが、登記簿謄本には会社設立年月日とは別に、いつ株式会社になったのかが記載されることになります。ただし、合同会社から株式会社へ組織変更する際には、官報に公告を1ヶ月間掲載をしなくてはなりません。その掲載期間が終了しなければ、変更をすることができませんので、効力発生日は広告掲載期間終了日以降となります。

サービスの流れ

STEP2

「組織変更計画書」について、総社員の同意を得る

新しい株式会社の骨組みが決まれば、それを組織変更計画書として作成し、合同会社の社員全員から同意を得なくてはなりません。

社員とは従業員を指しているのではなく、出資等をして持分がある社員のことです。

当然、同意を得てからの組織変更となりますので、効力発生日の前日までに総社員からの同意を得なくてはなりません。

同意を得れば、組織変更計画書で決めたことに則って、合同会社から株式会社への変更へまっしぐらに進みます。

新しい商号についても、同意を得られたことになりますので、このタイミングで新しい株式会社の法人印鑑を発注しておくことをお勧めします。

サービスの流れ

STEP3

債権者の保護手続きを行う

合同会社に対する債権者がいるのであれば、その債権者を保護しなくてはなりません。

というのも、債権者は組織変更することに異議を申し立てることができます。

そのため、債権者に対して、組織変更をすることを広く知らせなくてはいけませんので、まずは官報にて公告を掲載し、かつ、債権者として分かっている人(法人)には個別に催告をしなくてはなりません。

①官報の広告掲載の手配をする

組織変更をするにあたり、官報に掲載する期間は1ヶ月を下回ることができません。官報販売所に掲載を依頼します。掲載費用は行数により決まりますが、合同会社から株式会社への組織変更時には、おおよそ35,000円程かかっているようです。

②知れたる債権者に催告する

通常、知れたる債権者は複数いることが実情です。融資を受けている銀行や、リースを受けている法人など、個人的な債権者以外も考えられるからです。債権者が100社あれば、100社に対して催告をしなくてはならず、その債権者から1社でも異議を申し立てられれば、組織変更を行うことはできなくなります。

上記の①②を経て、異議を申し立てる債権者が1人もいなかったことを上申書として作成することで、債権者の保護が行われたことを証明します。これにて、債権者保護手続きが完了となります。

サービスの流れ

STEP4

組織変更の効力発生日を迎える

債権者保護手続が完了していれば、組織変更計画書で決めた日に問題なく、効力が発生することとなります。

会社を設立する時には、設立登記を申請した日が、会社の設立年月日として登記されます。

しかし、組織変更の時には、変更登記を申請した日が、株式会社の設立年月日となるのではなく、効力発生日があくまでも株式会社設立日(変更日)となります。

サービスの流れ

STEP5

組織変更の登記申請を行う

無事に効力発生日を迎えれば、管轄の法務局に登記申請を行います。組織変更による株式会社の設立登記と、組織変更による合同会社の解散登記です。

申請書は別々のものになりますが、同時に申請を行います。

申請を行い通常5日~7日程の審査期間を経ます。

これは、各法務局によってスケジュールが変わってきますので、申請の際には登記完了予定日を確認するようにしてください。登記が完了すれば、株式会社としての登記簿謄本を取得することができます。

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