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役員任期を伸ばしてコスト削減!【株式会社の役員任期伸長手続きについて】

役員(取締役・監査役)の任期について

近年設立される多くの株式会社では、役員(取締役・監査役)任期は最長である10年に設定されていると思います。

旧商法下では、は取締役の任期は2年、監査役の任期は4年という決まりがあったため、伸長することができませんでした。つまり、最低2年に1度は取締役に変更がなくても法務局へ登記の手続きを行わなければならなかったのです。

平成18年の法改正により、任期を最長10年に延ばせるようになりました。家族や親族による同族会社であれば、2年の任期は短いとお考えの方はたくさんいらっしゃると思います。任期を伸長すれば、2年毎の法務局への手続きが不要になり、手続きに伴う書類作成、登記費用も削減することができます。

この任期を伸長するには2つの条件があります。

  1. 株式譲渡制限のある非公開会社であること
  2. 株主総会の特別決議によって定款変更の承認を得られること

「株式譲渡制限のある非公開会社」とは、株主が株式を他人に譲渡するとき会社の承認を受けなければできないという制限を定めている会社のことです。単に「非公開会社」や「譲渡制限会社」とも呼ばれたりしています。

「非公開会社」かどうか分からない場合は、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を確認してください。

登記事項証明書の「株式の譲渡制限に関する規定」に「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を得なければならない。」等と登記されていれば、非公開会社です。

株主総会の特別決議は、原則議決権をもつ株主の過半数が出席し、その3分の2以上の賛成によって成立します。株主がお一人や家族・親族である場合は問題なく決議することができます。

《関連》株式会社の役員変更手続きについて

役員任期伸長手続きの流れ

1.株主総会を開催する

株主総会を開催して、役員の任期を10年に伸長する旨の決議を行います。決議の内容を記載した株主総会議事録を作成し、出席した役員が記名、押印します。

<株主総会議事録 記載例>

議案 定款一部変更の件

議長は、当会社の取締役及び監査役の任期を変更したい旨を述べ、下記のとおり当会社の定款を一部変更することについて、その賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれを承認可決した。

(取締役の任期)
第○条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

(監査役の任期)
第○条 監査役の任期は、選任後10年内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 補欠により選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとする。

2.株主総会議事録と現行定款を保管しておく

役員の任期は登記事項ではありませんので、登記事項証明書には載っていません。つまり、任期を伸長しても法務局への登記申請は不要であり、議事録を作るだけで手続きは完了します。

株主総会議事録と現行定款を合わせて保管しておくだけで問題ありません。

ただ、やはり定款も任期を反映したものに作り変えた場合は、新たに定款を作成して定款末尾に原本証明しておけば良いでしょう。

<原本証明記載例>

【定款最終ページの末尾】

(法令の準拠)
第○○条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。
上記は、当法人の現行定款に相違ありません。
平成○○年○月○○日
 株式会社○○○○
 代表取締役 ○○ ○○

任期伸長する際の注意点

現在では一人会社であることはめずらしいことではありません。株主と代表取締役が同一人物であることも多いです。

一人会社や家族のみの会社であれば、任期を10年にしてもさほど不都合はありませんが、自分は株主で取締役は誰かに任せる場合、他人同士が集まって会社を設立した場合等は、10年は長い期間であるということを認識しておいたほうが良いでしょう。

仮に任期途中に何らかの理由で辞めさせたい場合、解任手続きをとることになります。もし正当な理由もなく解任した場合には、解任によって生じた損害を支払わなければならない可能性があります。

2年は短いかもしれませんが、10年は長い期間です。最長が10年ですので、4年でも5年でも設定することができます。会社の実情に合わせて任期を設定するようにしましょう。

また、任期を伸ばした場合は、当然に役員重任登記も10年ごとになります。10年ごとの役員改選となりますから、登記を忘れないように注意しましょう。

役員の重任・再任手続きの詳細は下記ページをご覧ください。

役員任期Q&A

いつでも役員任期を伸ばすことができますか?

次の任期満了前であれば、いつでも役員任期を伸ばすことができます。

「任期満了前」がポイントですが、いつ役員任期が切れるかわかっている人は多くありません。

例えば、取締役の任期が2年の場合、就任をした日から2年後に任期が満了するわけではありません。

就任をした日から2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが任期です。

少しややこしいので、下記で説明します。

  • 取締役1人の株式会社
  • 平成30年6月1日に取締役就任
  • 任期2年
  • 事業年度「4月1日から翌年3月31日まで」

就任をした日から2年以内とは、平成32年6月1日以内です。

そして、平成32年6月1日以内に終了する事業年度は、「平成31年3月31日」と「平成32年3月31日」の2つがあります。

このうち「最終のもの」ですので、「平成32年3月31日」が該当します。

総合すると、平成32年3月31日の事業年度終了後に開催される「定時株主総会が終わる時まで」が任期になります。

役員任期は2年ピッタリではありませんので、間違わないようにしてください。

取締役は任期が到来すると自動的に退任になりますので、役員任期を伸ばすのであれば、任期が満了する前に手続きが必要です。


株式譲渡制限がない会社です。任期は伸ばせないのでしょうか?

株式譲渡制限会社でないと役員任期は伸ばせません。

株式譲渡制限会社とは、自社の株主が持っている株式を譲渡(売却)するには、会社の承認を得なければならないという規定がある会社です。非公開会社とも呼ばれています。

株式譲渡制限がない会社、つまり会社の承認を得ることなく自由に株式を売買することができる会社を公開会社といいます。

公開会社では、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年という決まりがあるため、任期を伸ばすことはできません。

もし譲渡制限規定を設けて役員任期を伸ばしたい場合には、株主総会による定款変更の特殊決議、株券発行会社であれば株券提出公告と全株主へ通知を行う必要があるなど、様々な手続きが必要です。


取締役の任期は10年、監査役は4年とそれぞれ別に設定することはできますか?

取締役、監査役の別に任期を設定しても構いません。

取締役、監査役とも非公開会社であれば、最長10年まで伸ばすことができます。同じ任期でも構いませんし、別々に設定しても構いません。

同じ任期にしておけば、同じ時期に任期満了になりますので、法務局への役員変更登記が一度で済みますし、同時に行えば費用も節約できるメリットがあります。

一方、別々の任期に設定すると任期満了する時期が異なりますので管理がしにくく、費用も毎回発生します。

もし別々に設定するのであれば、何回に一回は同じ時期に任期満了になるようにすると良いでしょう。


役員任期を伸ばした場合のデメリットはありますか?

役員の任期を長く設定すると任期の途中で交代させたいと思った場合に、会社の都合で辞めさせることはできません。

もし取締役に辞める意思がなく、株主総会の決議で解任するとなると、解任することに正当な理由がなければ、残任期間までの役員報酬相当分の損害賠償を請求される可能性があります。

そうなると会社の経営に支障を及ぼすことが予想されます。

1人の会社であったり、家族で経営している会社であれば10年にしても特段問題はないかと思いますが、会社の経営を第三者に任せている場合であれば、役員の任期をあまり長めに設定するのはお勧めしません。

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