そもそも資本金とは?株式会社設立時の資本金の決め方・定め方

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株式会社の資本金とは?
~起業家支援専門の行政書士がわかりやすく解説~

資本金グラフ

株式会社を設立するには資本金が必要です。先立つもの(お金=資本)がなければ、営業活動はできません。

では、この「資本金」とは一体何なのでしょうか?

大雑把に言ってしまえば、商売の「元手」です。

とは言え、個人商店の元手と、株式会社の元手は、似て非なるものであり全くの別物です。

当ページでは、株式会社とその元手となる資本金について徹底解説していきます。

  • そもそも株式会社とは?
  • 株式会社が発行する株式と資本金の関係は?
  • 資本金はいくらに設定すれば良いのか?
  • 多いほうがいいのか?あるいは少ないほうが良いのか? etc

延べ1,000社以上の株式会社の設立・定款作成に携わってきた起業支援専門行政書士が、起業家のみなさまの素朴な疑問点について、わかりやすく丁寧に解説していますので、ぜひとも参考にして頂ければと思います。

▼ 目次(もくじ)

株式会社は「株式」を発行するから「株式会社」

株式会社とは、読んで字のごとく「株式」を発行する会社です。株式を発行する会社=株式会社です。

ですから、設立に際して必ず1株は「株式」を発行しなければなりません。

では、株式会社を設立して発行した「株式」は誰のものになるのでしょうか?誰が引き受けるのでしょうか?

通常は創業者(株式会社を作る人を「発起人」と言います)となるあなたが、引き受けます。

引き受けると言っても、多くの方が最初は1人(或いは2,3名)で株式会社を設立されます。

1人で設立するいうことは、自分のお金で出資(資本金)を行い、その対価として発行される「株式」を、自分の会社から引き受けることになります。

若干ややこしい解説になってしまいましたが、まずここでは、1人で設立する場合でも複数名で設立する場合でも、「株式会社を設立するには、1円以上の金銭等を出資して必ず株式を発行しなければならない」という点だけ押さえて頂ければOKです。

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株主の有限責任とは?資本金は返さなくても良いお金?

はい。そのとおりです。

銀行などからの借入とは違い、株式会社に出資された資本金は、返済の必要はなく自由に使っても良いお金なのです。

有限責任、無限責任という言葉をご存知でしょうか?

株式会社の株主は「有限責任」を負います。

  • 責任が限定されている=有限責任
  • 責任が限定されていない=無限責任

となります。

株式会社の有限責任とは、簡単に言うと、「出資した資本金がゼロのなる可能性があるよ?」「ゼロになっても文句は言えないよ?」というものです。

100万円を出資して株主になった場合、出資先の株式会社が倒産したら100万円はゼロになります。100万円を返せと言えないのです。逆に言うと、それ以上の責任は負いません。

一方の無限責任は出資した資本金額以上の責任を負う場合もあるよ。ということになります。上記の例でいきますと、100万円のお金がゼロになるどころか、もしその会社に債務(借金)が100万円残っているとしたら、その借金も返さなければならないのが無限責任となります。

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株式会社は資本金を「元手」に営業活動を行う

次に、株式会社の「株式」の本来的な仕組みを説明していきます。

株主がお金を出す(資本家) → その対価として株式を受け取る(資本家) → 資本金を元手にして株式会社の経営を行う(経営者) → 利益を出し株主に配当を行う(経営者)

これが株式会社の本来的な仕組みです。大企業、上場企業、中小企業でも変わりはありません。いわゆる「資本と経営の分離」というものですね。

1人で株式会社を始める場合は一人二役を演じるというだけで基本的な仕組みは中小企業でも大企業でも変わりないのです。

株式会社の起源は「東インド会社」がそのはじまりとされています。世界史ないし日本史の教科書にも出てきたと思いますので、言葉だけは知っているという方も多いと思います。

株式会社の仕組みは、数百年前にできた東インド会社と現在の株式会社の間でも基本的には変わりません。もちろん、現在の日本の株式会社も同様です。

皆でお金を出しリスクを分け合う東インド会社

東インド会社は貿易会社です。船で他国へ渡り、そこで商品を売買、交換し、収益を上げます。今でこそ、貿易船が転覆するなんてことは減りましたが、当時の航海は命がけです。帆船ですから。

商品を積み、海を渡って他国へ出かけようにも、当時はそう簡単には行きません。

嵐にあって沈没。嵐に遭わなくても海賊の略奪に遭うなんてことも日常茶飯事でした。

一人の資本家がそのリスクをすべて背負って事業を行うことは困難でした。

でも、貿易は儲かるから是が非でもやりたい。どうにかならんもんか。と編み出されたのが株式会社です。

皆がお金を出し合って船を出し(資本家=株主)、船長が航海、貿易を行います(経営者)。その貿易で得た利益は、最終的には株主に返します。もちろん、船長はその利益の中から給料をもらいます。

お金があれば頑丈な船を造れますし、海賊に遭遇しても退治できるように傭兵を雇うこともできますよね。

うまく行けば皆ハッピーですが、もし船が沈没したら、株主が出したお金はパーになってしまいます(厳密に言えば、お金を出した対価としてもらった株式が紙くずになるということです)。

株式投資がハイリスク・ハイリターンと言われる所以です。

株式会社はこのような形ではじまりました。昔も今も、事業を始めるには、ある程度まとまったお金が必要だということですよね。お金がある人だけがハイリスク・ハイリターンの事業に手を出せるのです。

ですが、日本ではこの資本金が、1円でもOKということになってしまいました(10年ほど前までは、1000万円が必要で、人も4人以上集めなければなりませんでした)。

株式会社本来の仕組みから考えると、あり得ないですね^^;

「1円出すから会社経営して利益を出して配当して下さい」と言われても、どだい無理な話です。経営者からすれば「1円しか出さないのにどの口が言ってるんだ」という話になりますね。笑

ではなぜ1円でもOKにしてしまったのでしょうか?これにはきちんとした理由があります。

国の思惑があるのですね。長引く不景気を打開するために、規制緩和をして起業を促進したいのです。国民に株式会社を1社でも多く作らせて、儲けてもらって、その上で税金を払ってほしいのです。

前述の通り、株式会社は資本金を出す人と経営をする人が別々なのが原則です。ですが、多くの会社は、1人で株式会社をスタートさせます。資本金を出す人と経営をする人が同一人物になります。一人二役を演じます。

ということは、別に1円を元手に経営をして失敗しても誰にも文句は言われません。国はこの1000万円という大きな資本金規制を撤廃して株式会社を多く設立させようと目論み、実際に成功しています。株式会社数はここ数年で大きく伸びました。

とはいえ、1円以上で設立できると言っても、実際に1円で設立するのは現実的ではありません(この点については後述していきます)。

  • では、資本金は一体いくらにすればよいのか?
  • 資本金の相場や平均値ってどのくらいなの?
  • 資本金の額によって税負担も変わってくると聞いたけど本当なの?

ここから、これらの事項について一つずつ丁寧に解説していきます。

ちなみに、この株式会社の資本金が何たるかを理解できれば、今私達が生きているこの資本主義社会が何たるかも同時に理解できるようになります。

これから、資本主義社会という大海原に株式会社という船を作って、航海に出られるあなたが「資本金とは何たるか」を知っておくことは、絶対に必要なことなのです。

当ページは結構なボリュームがありますが、最後まで読んで頂ければ資本金について、誰でも理解できるようになっています。

設立前の段階で株式会社という仕組みをきちんと理解しておくことも、これから経営者となるあなたの重要な仕事の一つだと思って、なんとか読み進めていってくださいね^^

※当然ですが、株式会社を設立して事業を営むには資本金以外にも様々な資金が必要になります。起業時の資金調達や助成金、税金に関する解説はこちらをご覧ください。

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資本金の性質とは?自由に使ってもいいの?減ってもいいの?

先程も触れましたが、株式会社は資本金という元手を使って事業をスタートさせます。

1,000万円の資本金(元手)で貿易業を始める株式会社を例に挙げて、資本金とは何か?どのような性質のものなのか?を説明していきたいと思います。

(わかりやすく説明するために極単純な数字だけを使って説明します)

資本金1,000万円を元手に海外から商品を仕入れた → 1,500万円で売れた → 500万円の利益が出た

会社には1500万円の現金が残りました。

ここで資本金が1,500万円になるのでは?と思われた方もいると思いますが、そうではありません。資本金はあくまでも1,000万円のままです。この時点では、「1,000万円の資本金と500万円の現金が残っている」という考え方をします。

会社の決算書類のひとつに貸借対照表というものがありまして、ご存知の方も多いと思いますが、こちらの計算式で資本金を導きます。

「資産-負債=純資産(資本)」

今回のケースでいくと、純資産の内訳は(資本金1,000万円+利益500万円)です。純資産が1500万円の会社になります。

この利益500万円をそのまま資本金に組み入れることもできますが、通常、創業したばかりの株式会社はそのようなことはしません。

株式会社は継続的に利益を上げることを目的にしていますから、この利益500万円を軍資金として追加、1,500万円のお金を使って、更なる売上を狙いに行きます。

そして、更に多くの利益を出した段階で、株主へ配当を行う、資本金に組み入れて資本金を増やす、あるいは更に株式を発行して増資する(利益を出しており業績もいいので新たな株主を募りやすい)といったことを行います。

次に、儲からなかったパターンも考えてみましょう。

資本金1,000万円を元手に海外から商品を仕入れた → 500万円分しか売れなかった → 500万円の赤字が出た

1,000万円の仕入れを行ったにもかかわらず、500万円しか売れなかったケースでは資本金はどうなるでしょうか。手元の現金が500万円に減ってしまいました。

500万円の赤字なので資本金も半分の500万円に減ってしまうのでしょうか。こちらもそうではありません。さきほどの総資産の内訳で言うと(資本金1,000万円+利益0万円)になります。

赤字になっても、資本金が減るわけではないのです。

手元の現金500万円+売れ残った商品500万円がありますから、合計で総資産(資本金)も1,000万円のままなのです(この会社に負債(借金)はないので)。

つまりは何が言いたかったかと言いますと、「資本金の多い少ないは信用面では大きな指標ではあるが、絶対的な指標では無い」ということです。儲ける力があるかないかは全くの別問題ということですね。

500万円のプラスが出た場合でも、500万円のマイナスが出た場合でも、資本金は同じ1,000万円の会社です。

これから自分の会社の資本金をいくらにするか考えていく中で、前提としてこの簡単な考えた方を頭に入れておいてもらえればと思います。

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資本金の額はいくらが適切なの?

「資本金が多い=元手が多い=資金力がある」と見られるわけですから、資本金の額は少しでも多いほうが、信用面では他企業との取引もスムーズに行くことが多いでしょう。

とはいえ、数千万円から数億円もの多額の資本金を用意できる会社など、大企業でもない限りそうはいませんので、ご安心ください。

では、どの程度の額の資本金額が妥当なのでしょうか?

国が出している統計値に加えて、弊社の顧客数百社の株式会社の統計値もこちらのページで見ていきたいと思います。実際の統計ですから大いに参考にしていだけると思います。

資本金は1円でOKとはなりましたが・・・

前述のとおり、新会社施行後は、資本金は1円以上でよくなりましたが、現実的ではありません。

自分の立場になって考えてみてください。海のものとも山のものともつかないような資本金1円の新参会社から「新規取引をお願いします!」と営業に来られても、躊躇してしまいますよね。個人事業主と何が違うんだ?って話になりますよね^^;

とは言え、資本金が1円の会社さんも実際にはいますし、普通に営業もされています。

ただ、注意しておくべき点が非常に多いこともまた事実。

みていきましょう。

銀行から口座開設を断られるケースも・・・

銀行によって扱いは様々ですが、資本金1円では銀行口座の開設がNGという所も出てきているようです。今の時代、口座がなければ営業もできません。まだまだ少ないとは言え、可能性がゼロとは言い切れませんので、十分に注意しましょう。

実際にあった起業家さんの話です。

資本金1円で合同会社を設立。設立登記完了後、いざ、取引銀行窓口へ。

登記簿謄本を見せたところ、窓口係員から一言。

「お客様、資本金1円の会社さまの新規口座開設は現在お断りしております」

「・・・。」

さあ大変です。

と言うのもこの会社、大口営業取引先から決済口座の銀行を指定されていたのです。他の銀行を探せばいいという単純な話ではなかったのです。

設立後1週間も経たないうちから、即、法務局で増資手続きをするはめに。

資本金を増やすには法務局での変更登記手続きが必要になります。

当然、登録免許税がかかります。増資する金額にもよりますが、最低でも3万円。その他、我々専門家に書類の作成や申請手続きを依頼すれば、もちろんその分の報酬もかかってしまいます。

増資は手続きもその書類の作成も、決して簡単ではありません。取引先から急かされているのに、時間をかけて自分で手続きをしている場合でもありません。

結局、その方は専門家へ依頼。登録免許税と専門家報酬を含め、増資手続きに10万円弱かかってしまいました。

即、債務超過に陥ります・・・

当たり前ですが、株式会社の運営には事業経費がかかります。設立と同時に即売り上げを計上できる目処が立っていれば別ですが、そういったケースは稀なはずです。

資本金が1円とかだと、設立後即、債務超過に陥ります。

そもそも株式会社の設立実費に20-24万円かかりますから、資本金がそれ以下の場合、設立登記が完了した時点で会社にお金が無くなってしまいますからね^^;

社長貸付の際の注意点

その場合でも大半の会社は、社長個人が会社へ貸し付けという形を取ると思いますが、帳簿上はれっきとした「債務」です。

法人化するということは個人事業とは違い、社長と会社との財布は「全くの別物」として扱わなければなりません。

1期目から、「設立当初の資本金が少なく、社長からの借入金が多い」という、バランスの悪い決算書が出来上がってしまいます。

後述しますが、決算書が赤字だと、基本的には金融機関(銀行や日本政策金融公庫)からの借入はできません。

いくら社長個人からの貸付と言えど、債務超過で赤字体質の会社に金融機関はお金を貸しません。

資本金1円会社は止めておいた方が無難です。

このように、資本金1円で会社を作ってしまうと、様々な弊害が待ち受けています。

資本金1円という極端に少ない資本金で会社を作るのは止めておいた方が無難です。もとい、止めましょう。

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資本金の額の相場・平均は?

では、次に気になる日本全国の株式会社の資本金の相場・平均を見ていきましょう。

産業分類別になっているので、参考にしてください。

総務省の統計

総務省の統計です。まずは御覧ください。

http://www.stat.go.jp/data/e-census/guide/basic/result/chart8.htm

資本金額の統計

一番上の全産業を見てみてください。

300万円~3000万円が90%近くを占めていますね。電気・ガスなどのインフラ系企業や鉱業、採石業など国の基幹事業系の会社はやはり資本金が1000万円以上が大半です。

一般の方に馴染みがあり、建設業、情報通信業、卸売・小売・不動産、サービス業などは、300万円~500万円が多数を占めています。

300万円~500万円がオレンジ、1000万円~3000万円が青。

あなたがこれから行う事業が産業大分類のどこに当たるかで、大体の目安にしていただけるかと思います。

弊事務所で設立される会社の資本金額の平均・統計

ちなみに、私共の顧客である株式会社さんの資本金ですが、90%以上が100万円~500万円となっています。

我々のような行政手続きの専門家にご依頼をくださる会社さんは、みな中小企業です。

社長さんと社員が数名の規模の会社さんが多いですね^^

中には資本金数億円の会社さんもいらっしゃいますが、やはり少数です。大企業は法務部や総務部がありますから、自社で手続きをされることが多いのだと思われます。

なお、信用面などは一切気にしない、節税だけが目的の中小企業さんですと、それこそ10万円~100万円の資本金にされています。

日本政策金融公庫の「起業と起業意識に関する調査」(2016年度版)

日本政策金融公庫が実施している「起業と起業意識に関する調査」(2016年度版)も参考までに見てみます。

起業費用100万円未満が全体の54.3%、100万円以上~500万円未満が29.0%、500万円以上~1000万未満が7.5%以下省略。

となっています。

公庫の統計資料は株式会社だけでなく、個人事業なども含まれていますので、ある程度の参考として頂ければと思いますが、ここまで見てきた総務省統計や弊社平均値と似たり寄ったりですね。

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さて、ここまで見てきて大体の資本金の大体のイメージは掴めてきましたでしょうか?

それでは、次から、実際の資本金の額の決め方を見ていきましょう。

資本金の決め方は大きく分けて3つです。

資本金の額の決め方

【資本金の決め方 その1】税金を考慮する。

(1)消費税

新たに設立された法人については、資本金1000万円以下の会社は、設立1期目及び2期目は原則として消費税が免除されます。

設立と同時に資本金を1000万円にしてしまうと、1期目から消費税負担が発生してしまいます。

ただ、個人事業から株式会社へ法人成りをする場合には注意が必要です。個人事業時代の課税売上高や人件費の総額等の額によって、免税点が変わってきます。

詳しくは下記を御覧ください。既に個人で事業をされていて、顧問税理士さんを付けてらっしゃる場合は、設立前に必ず相談しておきましょう。

(2)法人住民税

法人住民税は、ざっくりと以下の3つに大別できます。

  • 均等割・・・法人の所得が黒字・赤字を問わず、課される税金
  • 法人税割・・法人税額を基礎として課される税金
  • 利子割・・・預貯金等の利子などに課される税金

この3種類の法人住民税のうち、資本金の額によって税額が変わってくるものがあります。

「均等割」です。

資本金の額が1000万円を超えるか否かによって税額が年間10万円ほど変わってきます。

  • 資本金が1000万以下の場合、市町村の法人住民税が5万円。都道府県の法人住民税が2万円。
  • 資本金が1000万円を超える場合、市町村の法人住民税が13万円。都道府県の法人住民税が5万円。

※市区町村によって税額は若干異なります。詳細は管轄自治体のHPを参照いただければと思います。

厳密に言えば、従業員数が50人以下か、それ以上かによっても金額は異なるのですが、おそらく当ページを御覧頂いている方の大半は50人以下の会社さんだと思われますので割愛させていただきます。

会社を作っていきなり50人を超える従業員規模というのは、もはや大資本かつ大企業くらいのものだと思われます。

(3)登録免許税

株式会社設立に要する登録免許税は、資本金額の1000分の7です。

資本金に1000分の7を掛けて、その額が15万円以下であれば、15万円になります。

仮に資本金が2500万だとしたら、17万5千円。3000万だとしたら、21万円。計算上、2143万円までは、登録免許税は15万円です。

(4)交際費

資本金が1億円を超える大会社は、飲食の為の支出に関してはその50%相当額の損金算入が可能です。

一方、資本金1億円以下の中小企業は上記の接待飲食費の額の50%に相当する金額or800万円定額控除額のいずれかを選択し、その額を損金算入できます。

なお、交際費は、接待、供応、慰安、贈答等に該当するもので、取引先への支出のみならず、会社の役員、従業員、株主等に対する同様の支出も含まれます。

【資本金の決め方 その2】ただ単純に設備資金・運転資金を資本金にしてしまう。

(1)当面の事業運転資金

一番簡単でかつ、単純な資本金の決め方です。

サラリーマンの方であれば、貯金額の中から、どの程度、株式会社の運転資金・設備資金として使えるのか?設立してすぐは売上も立たないでしょうし、生活資金もおいておかねばなりません。

1000万円の貯金があるとして、そのうち300万は株式会社の資本金にして、運転資金・設備資金にする。そういった単純な話です。

事業計画をどのように立てるのかによって資本金の額も自ずと決まると言うわけですね。

個人事業主さんの場合はもっと単純です。

事業で使っている通帳からどの程度の資金を新しい会社に移すか?移せるのか?これまでに毎年決算申告をされてきているでしょうし、要は、事業資金として使えるお金をそのまま資本金にしてしまってもOKなわけです。

ただ、個人事業主さんが法人成りをする場合は、個人事業を継続するのか、廃業して株式会社へ資本を全部移行するかによって、資本金の額や運転資金は変わってくると思いますから、事前に顧問税理士さんに相談しておきましょう。

顧問税理士さんがいらっしゃらない場合は下記の提携サイトよりご紹介も可能です。

全国税理士紹介センター

(2)資金調達時の優位性

資本金は多ければ多いほど、融資は受けやすくなります。

金融機関は貸倒れを一番嫌います。資本金が少しでも多い会社にお金を貸したくなる気持ちも普通に考えればわかりますよね。

なお、株式会社設立と同時に借入を行う場合は、プロパー融資は難しいので、日本政策金融公庫の新創業融資か自治体の制度融資を利用することになります。

これらの融資は設立時の資本金の額をそのまま自己資金として認めてくれるケースも多いので、資本金は少しでも多めに競設定しておくとよいでしょう。

※とは言え、自己資金の「出処」はきっちりと確認されますので、自己資金を貯めてきたという事実を証する銀行口座の通帳等は保管しておきましょう。見せ金などはNGです。すぐにバレます)。

【資本金の決め方 その3】法律・許認可業種に応じて決める。

(1)許認可の資本金規制

許認可取得の要件に、一定以上の資本金の額が求められる場合があります。

建設業許可取得を考えているのであれば、その要件に「請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること」というものがあり、自己資本の額が500万円以上必要になります。

厳密にいうと、資本金の額として額面で500万円以上の登記が必要なわけではありませんが、通常は株式会社設立と同時に建設業許可の取得を行う場合は、資本金を500万円に設定、登記を行います。

その他、人材派遣業許可には2000万円以上、職業紹介事業許可には500万円以上、旅行業の許認可・登録には300万円~3000万円の資本金が必要です。

株式会社で許認可業種を営む場合は、事前に監督官庁へ確認を取っておきましょう。

(2)下請法の規制

あまに耳慣れない法律名かと思いますが、この下請法は、公正取引委員会が管轄していて、「大会社と中小零細企業では体力にそもそも違いがあるので、下請けイジメをしてはなりませんよ」という規制を行う為の法律です。

資本金1,000万円を超えるとこの法律の規制の対象事業者(親事業者)になります。

詳細は公正取引委員会のページをご覧いただければと思いますが、親事業者になるとかなり多くの義務と禁止事項が課せられますし、違反した場合は罰金刑もあり得ますので、注意しましょう。

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お金じゃなくても資本金にできるの?現物出資について

金銭のみならず、物を出資して、資本金を増やすことも可能です。実際に価値あるものでなければなりません。

具体的には、貸借対照表の資産の部に計上てきるような、動産(自動車、パソコン等)、債権、営業権等です。

現金のみでは、どうしても資本金が少なくなってしまう場合は、現物出資という選択肢もありますから、検討してみましょう。

とはいえ、現物出資を行う場合でも、購入価額より値段を高く設定するのは、お勧めできません。

現物出資の価額の決め方については、会社法上、特に規定はありませんが、自分が買ったときより高い価額に設定するのはあまり好ましくありません。

会社法上のみならず、税法上もお勧めできません。購入年数、減価償却などを考慮して適正な価額を設定した上で、で現物出資を行うようにしましょう。

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ちょっと一息。簡単コラム【共同経営の場合の出資割合について考えよう】

ここまで資本金の額はいくらが妥当か、また、決め方などについて見てきましたが、ここでは視点を変えて資本金の「出資割合」について考えてみましょう。

1人で資本金を捻出して設立する分には何の問題もありません。複数人の場合は、その後の会社経営において、少し注意が必要になります。

議決権の割合次第では、会社の経営権が保持できないなどの問題が発生する場合があるのです。

株式会社の重要事項を決定するには、株主総会の決議が必要になります。役員の選任や解任、役員報酬の総額の決定、定款変更などです。

1人の場合は当然全ての株式を持っていますから全会一致で決議が可能ですが、複数人の株主をいる場合はそうはいきません。

例えば、1株1万円で300株300万円の資本金で3人で1人100株ずつ、出資を行った場合。当然ですが、何を決めるにも多数決が必要になります。スピーディーな経営判断が求められる起業時にも関わらず、いちいち多数決を取る必要が出てきてしまうのです。

株主総会の決議には普通決議、特別決議、特殊決議などがあります。詳しくはこちら(株主総会の決議要件)を参考にしていただければと思いますが、あなたが会社の実質上の経営権を持っておきたい場合は、最低でも発行済み株式のうち、3分の2以上は保有しておくようにしましょう。

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資本金は後々増やせる?増資について

設立後は、資本金を増やせるのかどうか?

もちろん増やせます。

資本金は、株式会社設立後も、いつでも増やしたり、減らしたりできます。

資本金を増やすことを増資、減らすことを減資と言います。

増資に関しては、株主総会の決議を経て、募集株式の発行を行い、その株式を引き受けた人が株の対価として出資等を行うことにより資本金の額を増やします。

減資については、株主総会の特別決議を経て、債権者保護公告を行います。

ただ、増資も減資も、手続きは煩雑で、法務局への変更登記申請も必要になります。登録免許税ももちろん掛かってきます。

ですから、設立後に増減が出来ると言っても、無駄な手間暇をかけないように、自分の会社にあった適切な資本金額を設定しましょう。

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【Q&A】資本金についてのよくあるご質問

一株いくらが妥当?自由に決めていいの?

一株いくらでも構いません。あなたの好みで決めることができます。最も多いのが1株1万円。資本金100万円の会社を作るなら、100株発行の株式会社ですね。

1000万円なら1000株発行の株式会社。10万円程度の低資本の会社にする場合は1株1000円や100円と設定される社長さんもいます。弊社にご依頼を頂く会社さんの最頻値は1株1万円から5万円で設定されています。


資本金は誰が出資してもいいのでしょうか?

出資をする人に制限はありません。

資本金を出資する人を「発起人」といいますが、発起人の資格に制限はありません。

ですので、未成年者、法人(会社等)、破産者、外国人でも発起人になれます。ただし、未成年者の場合は、親権者の同意が必要です。

また、法人は株式会社や合同会社などが該当しますが、逆に法人格のない組合(有限責任事業組合、民法上の組合等)は、発起人になることができません。


他人からお金を借りてそれを資本金に充ててもよろしいのでしょうか?見せ金とは何ですか?

原則として、第三者(知人・友人・金融機関その他ビジネスローンなど)からの借り入れを資本金とすることはできません。

違法に資本金の額を多く見せる行為に該当してしまう恐れがあるからです。

日本政策金融公庫や制度融資で創業融資を利用する場合に、資本金額を不当に多く見せるために他から借りてきたお金を株式会社の資本金にし、それを持って自己資金として借り入れを行おうと考える方がいらっしゃいます。

外形上は資本金の額を多く見せることができますが、金融機関は株式会社の資本金の額面だけを見て融資判断の材料にするのではありません。

その資金の出所がどこかどうかをしっかりと確認します。融資のプロである金融機関からすれば、通帳明細を見れば、見せ金かどうかは一目瞭然なのです。

例えば、株式会社の設立手続き上は、資本金として発起人の通帳に500万円の資本金を入金し、通帳のコピーを取り、それを持って設立登記申請をすれば登記自体はできてしまいます。ですが、金融機関はその通帳だけを見るのではありません。その500万円をどのように集めてきたのか、その履歴が辿れる他の通帳明細も全て確認します。

資本金が少ないと信用面でマイナスだから、借り入れを行うのに自己資金を大きく見せたいから、といった理由で資本金の額を不当に釣り上げても何のメリットもありません。むしろデメリットの方が多いです。

株式会社の資本金は、借りてきてそれを増やすのではなく、自分で貯めてきた自己資金で出資するか、あるいは他人から融資ではなくあくまでも「出資をしてもらう」形を取ればそれで何の問題もありません。金融機関の借り入れにおいては、後者の場合は自己資金として認めてくれる場合もありますので。


資本金を使うと資本金額が減るのでしょうか?

資本金が減ることはありません。

厳密には、減資をしない限り資本金が勝手に減ることはありません

会社の資本金は、出資を受けた元手のお金です。出資されたお金を元に事業を行います。

事業が成功してお金が増えたのであれば会社の利益に計上され、事業が失敗してお金が減ったのであれば会社の負債に計上されることになります。このように、資本金の額は会社の業績とは切り離して考えられます。

会社がどれだけ利益を上げても、どれだけ赤字になっても資本金の額は変わらないのです。


資本金を1,000万円以下にすれば2年間消費税はかかりませんか?

1期目はかかりませんが2期目は条件によります。

資本金を1,000万円以下にすれば、1期目の消費税が免税になります。

2期目が免除になるかは、以下の要件を満たした場合のみです。

  • 特定期間の売上額が1,000万円以下の場合
  • 特定期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合

2年間消費税が免除されるかは、資本金が1,000万円以下であることと、要件を満たすことが必要です。

※特定期間とは、判定する事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間です。

消費税等、株式会社と税金に関しての詳細は、税の専門家である税理士さんに相談してみてください。顧問税理士がいない、あるいはお近くに相談できる税理士がいないという方は、こちらから税理士の紹介も可能ですので、ぜひご活用ください。初回相談、紹介料は無料です。→全国税理士紹介センター


資本金を増やすデメリットはありますか?

既存株主の利益が小さくなる可能性があります。

増資するには、新株を発行することになりますので、既存の株主からすると議決権が減少する、1株あたりの利益が下がるというデメリットがあります。

例えば、100株発行している会社の株主がAさん一人で、新たに200株増資してBさんが引き受ける場合。

Aさんの議決権は今まで100%だったのに、増資後は3分の1(33%)に減少します。

会社が1,000万円の利益が出ていた場合、1株あたりの利益は単純計算で、1,000万円÷100株=「10万円」です。しかし増資後は、1,000万円÷300株=「33,333円」になります。

もちろん既存の株主が新株を全部引き受けるのであれば、議決権や一株あたりの利益が下がることはありません。

重要なのは、既存の株主が経営者であれば、増資をしたことによって経営における議決権が減少する可能性があるということです。


会社の売上金を資本金にできますか?

売上金は、他者から出資される「出資金」ではありません。売上金はあくまでも会社の事業活動において生じた「売上」であって、いくら利益が出て純資産が増えたとしてもそれがそのまま「資本金」にはなりません。

会社の資本金は、原則として出資者から出資を受けたお金の集まりです。

とはいえ、出資とは異なる増資方法(資本金の額を増やすこと)がないわけではありません。

利益剰余金の資本組入れと言う方法もあります。詳しくはこちらのページをご覧ください。→利益剰余金の資本組入れとは?


資本金と資本準備金の違いは?

会社を設立する際に出資者(発起人)から払い込まれた全額を「資本金」とするのが一般的ですが、資本金の1/2を超えない額を「資本準備金」として積み立てておくことができます。

100万円出資した場合であれば、50万円までを資本準備金にすることができます。

会社のお金として積み立てておくことで、会社の業績が悪化した際に新たに出資することなく、資本準備金を取り崩すことで赤字を補填できるというメリットがあります。

また、資本金が1,000万円を超えるような場合であれば、資本準備金とすることで税制上メリットを受けられる場合があります。

ただし、資本準備金は登記されませんので登記簿謄本には記載されず、会社が資本準備金を計上しているかどうかは貸借対照表を見ないとわかりません。

資本金は会社の体力を示す指標になる数字ですので、資本準備金にしたことで資本金が少なく見えるというデメリットがあります。

中小会社の多くは出資された全額を資本金としますので、資本準備金を計上することはほとんどありません。


資本金を減少させることはできますか?

資本金は会社が意図的に減少させることができます。

資本金を減少させることを「減資」といいます。

減資する理由としては、累積している赤字を補填するなど財務内容の改善、資本金を一定額以下にすることでの税務上のメリットを享受することなどが考えられます。

例えば資本金が1,000万円を超えている場合であれば、資本金を減少させることで法人住民税(均等割額)が安くなります。

ただし減資するには一定の手続きを踏まなければならず、簡単にできるものではありません。

また、減資=事業の縮小というイメージがありますので取引先などからは不安要素となってしまいます。

減資をすることによるメリットとデメリットを理解した上で、顧問税理士さんに相談されることをおすすめいたします。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

資本金の額は、株式会社設立時の最重要決定事項です。

ベンチャー企業を作って、株式公開を目指す。節税目的の為に株式会社を作る。許認可を得る為に株式会社を作る。会社を作る理由はケースバイケースです。

それぞれの目的によって、資本金の額も変わってきます。当ページが資本金を決める際のお役に立てれば幸いに思います。

なお、当サイトでも株式会社の設立手続きの代行を行っていますので、お気軽にお声がけくださいませ。

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