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役員報酬を決めるにあたっては、前提となる考え方を押さえるのが不可欠です。では、どんな考え方なのでしょうか?
絶対に覚えておいてほしいのが、「役員報酬は適当に決めてはいけない」という点です。
例えば、「今期は利益が多そうだから、役員報酬も多めに……」という考えで、どんぶり勘定をしてはいけません。資金繰りに影響を及ぼします。
では、なぜ役員報酬が資金繰りに影響を及ぼすのでしょうか?
詳しくは後述しますが、会社が支払う法人税、役員個人が支払う所得税、そして、会社と役員個人が支払う社会保険料の額は、役員報酬の額次第で大きく変わってくるからです。
ここでは基本的な考え方だけ押さえましょう。役員報酬は、会計上の利益と、法人税等の税法の規定を踏まえ、慎重に決めるのがベストです。
また、会社法でも、役員報酬等については、定款に記載をするか、株主総会の決議を経なければならないと規定されています(会社法第361条)。一般的には、直接定款に記載する方法は取らず、定時株主総会決議で決定する会社が多いようです。
株主総会議事録の雛形・サンプルをご用意しておりますので、ご参考ください。
ここから先は、慎重に決めるために不可欠な知識を一つずつ解説していきます。
節税との関係で役員報酬をとらえた場合、損金算入ができることが条件になります。
しかし、役員報酬を損金算入するためには、一定の条件を満たす必要があります。次のいずれかに該当すれば、損金算入が可能です。
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
毎月同じ金額を役員に報酬として支払い、会計上も費用として処理すれば、税務上の損金になるという仕組みです。
ここでのポイントは、「毎月同じ金額」であること。
利益操作に使われるのを防ぐ観点から、利益に応じて自由に決めてはいけない規定となっています。
ただし、どうしても減額せざるをえない状況になった場合は、減額していいという例外規定もあるのを覚えておきましょう。具体的には、次の場合に減額が認められます。
なお、この例外規定を用いて役員報酬を減額した場合、その減額した金額を決算月まで毎月計上すれば、法人税上役員報酬として認められます。
ただし、株主総会議事録を作成する必要があるので覚えておきましょう。後日税務調査が入った場合、役員報酬を減額したいきさつを説明するうえでも、とても重要な資料となります。
「ある特定の日に、これだけの金額を役員報酬として支払う」という旨の届出を税務署に行い、その内容通りの役員報酬の支払いがあれば、税法上の役員報酬として認められる仕組みです。
ここで注意してほしいのは、「届出の通りか」という点です。日付、金額ともに合致していなければ、税法上役員報酬として認めてもらえません。業績が悪化して役員報酬を減らした場合でも不可なので、注意しましょう。
主に、有価証券報告書を提出している上場企業で用いられています。
前もって役員報酬の算定基礎となる指標等を有価証券報告書に記載し、それに基づいて役員報酬が支払われれば、損金算入できる仕組みです。
ただし、次の5つの条件を満たさなくてはいけません。
役員報酬を変更する場合、次の2つのルールを守らなくてはいけません。
役員報酬を変更する場合、新しい会計年度に入ってから3か月以内に行わなくてはいけません。
役員報酬を変更する場合、次の2つの手続きを行いましょう。
役員報酬が損金に算入できる場合、どんな税金の金額に影響を及ぼすのでしょうか?基本を押さえましょう。
法人税、事業税、住民税に影響を及ぼします。
所得税、住民税に影響を及ぼします。
法人が支払う税金について、基本的な仕組みを解説します。
会社の所得(=利益)にかかってくる税金です。所得が高くなればなるほど、法人税も高くなります。税率ですが、平成28年4月1日以降に開始する事業年度については、23.4%となっています。
こちらも法人税と同じく、会社の所得(=利益)にかかってくる税金です。所得が高くなればなるほど、事業税も高くなります。
法人にかかる住民税の場合、法人税額を基に計算する法人税割と従業員数・事業所数から計算する均等割から構成されます。
役員個人が支払う税金についても、基本的な仕組みを解説します。
役員個人の所得に対してかかってくる税金です。所得が高くなればなるほど、所得税も高くなります。
具体的には、超過累進課税と言って、所得の額ごとに税率が決まっている仕組みです。2016年6月現在、税率は次のようになっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,900万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付する。
地方自治体が行う行政サービスに必要な資金を賄う目的で定められている税金です。
課税対象者は全員払う部分=均等割と、所得に応じて支払う部分=所得割からなっています。標準税率は、均等割が年5,000円、所得割が一律10%です。
実際に役員報酬を決めるには、何をすればいいのでしょうか。ポイントをまとめました。
役員報酬を決める際は、税引後利益を試算することからスタートしましょう。計算例をを出してみるとわかりやすいかもしれません。
計算例)
計算例の場合、766万円から役員報酬を算定します。仮に税引前利益から役員報酬を計算してしまうと、税金の支払いに使う資金が残らず、資金繰りに影響する場合もあるので、十分に注意しましょう。
税引後利益が確認できたら、節税も鑑みつつ、実際の役員報酬額を決めましょう。詳しくは後述します。
役員報酬を決める際、キャッシュフローとの関連にも注意しましょう。特に、銀行など金融機関からの借入金がある場合、返済に影響を及ぼしてはいけません。資金繰りをしっかりチェックしてください。
役員報酬で節税したいと思うなら、個人の所得税・住民税、法人の法人税・事業税がどのように動くかをしっかり押さえなくてはいけません。詳しく解説します。
金融機関からの融資を受けたいなど、会社に資金を残したい、業績をよく見せたい場合は、役員報酬を低くしましょう。
これにより、会社の利益は上がります。ただし、この方法を使った場合、会社が支払うべき法人税・事業税が高くなるので注意が必要です。
役員が高額の固定資産(家、車など)の購入を控えているなどの理由で、役員報酬を多めにする場合、税金にはどう影響するのでしょうか。
当然ですが、役員個人が支払うべき所得税・住民税が高くなります。この方法を用いる場合、納税資金を確保するのも大事なポイントでしょう。
このように、役員報酬は様々な税金と密接に関連しています。
会社に重きをおくか、役員個人に重きを置くかで、取るべき方法が異なっているのも事実です。
「うちの会社にあった方法を提案してほしい」と考えるならば、税理士などの専門家に相談するのが一番確実でしょう。
ここまで書いてきた内容を踏まえ、役員報酬の賢い決め方と節税についてのポイントをもう一度おさらいしましょう。
大事な点ですので、しっかりと押さえておいて下さい。
以上、いかがでしたでしょうか。
役員報酬は、今後の会社のビジョン、規模を大きくしていきたいのか、資金調達を積極的に行っていきたいのか、節税をメインに行なっていきたいのかによって、その額が変わってきます。
このように、将来を見据えた役員報酬の決定には「顧問税理士との緻密なシュミレーション」が欠かせません。
当ページを読んで大体の知識は仕入れていただけたと思いますので、役員報酬額の設定で悩んでらっしゃる方は、いますぐ顧問税理士さんに相談してみましょう。
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