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【目次(もくじ)】
ここ数年で、「猫ブーム」なるものが来ています。
吠えない、トイレのしつけがしやすい、散歩がいらない・・・など、「犬より飼いやすい」という理由で、猫と一緒に暮らす家庭も増えているようです。
といえど、賃貸マンション等では契約上ペット飼育が禁止されていたり、一人暮らしで忙しい方等でペットを飼うことができないご事情が色々お有りかと思います。
そんな中、突如現れた「猫カフェ」なるお店。
喫茶店でお茶を飲みながら、たくさんの猫と触れ合えます。飼うことはできないけれど、猫と遊びたいという方々に人気です。
今では、全国各地に猫カフェはありますので、それほど珍しくなくなってきました。
「こんなに多くあるのなら、猫カフェをはじめるのは簡単なのかも・・・」と、思われます。
猫が好きだから、お店として営業すれば、もっとたくさんの猫を集めて飼うことができるし、仕事としてできるのであれば一石二鳥な気もします。
ただし、安易な考えは絶対に持たないでください。
小売店や喫茶店では、賞味期限が切れたもの・売れ残った商品等は、廃棄などの処分をします。
従業員となるのは人間で、コミュニケーションは言葉で簡単に取ることができますが、猫カフェの従業員は人間と「猫」です。
猫には気持ちは通じても、言葉は通じません。お客さんに愛想が良い猫もいれば、気性の荒い猫もいます。性格は様々、そして寿命も様々です。
飼ったはいいものの、カフェにはあまり合わないからと言って、解雇(飼育放棄)することはできません。
ましてや、廃棄処分などできるものではありません。生き物です。
このページでは、「もしも猫カフェをオープンするなら・・・」どういった手続きが必要かを解説していきますが、相手にするのは生き物だということを必ず念頭に置いて、話を進めていきましょう。
また、お店の営業時間には限りがありますが、閉店後も猫達はその場(店舗内)で生活していることがほとんどでしょう。
猫の勤務先でもあり、生活する場でもあるので、猫達がストレスをあまり感じずにそこに居られる場所づくりをしなくてはなりません。
閉店したからといって、そこで終わりではなく、引き続きの世話をしなくてはいけないことを思い出してください。
猫カフェを始めて3年以内に廃業するお店は約70%ともいわれています。
では、廃業したあとの猫達はどうなるのでしょうか?終わったから解雇(飼育放棄)等は絶対にできません。
廃棄なんて以ての外です。
これから始めようと、前途洋々に考えているところに水を差しますが、命を取り扱う仕事ですので、万が一廃業した場合のことは最初に考えておきましょう。
「猫カフェ」と言うと、喫茶店やカフェ店内に猫がうろうろしている・・・ような図が想像できます。
しかし、よく調べてみるといろいろな種類があることがわかります。
まずは、その種類を知って、大まかな構想を練りましょう。
コーヒーや紅茶などを店内で入れ、お客さんに提供する形です。
飲食店となるので、経営するためには必要な許可を受けなくてはいけません。
これは、市区町村が窓口となっており、そこに必要な書類等を揃え申請を行います。申請が受理され、審査期間を経て、問題がなければ許可証が発行されます。
飲食店営業許可は、各地方の窓口によって対応する課の呼び名は違いますが、「衛生課」などがついた名称の課が、担当しているところが多いようです。
この許可は、営業を開始する2週間前までに申請をしなくてはいけません。申請から完了まで、約1週間程かかります。完了すると、営業許可証が交付されます。
また、飲食店営業許可を得るためには、「食品衛生責任者」の資格を持った人が必要です。
食品衛生責任者の資格は、決まった履修項目の講習を受ければ取得できる比較的簡単なものです。
飲食店を始めるには、何はさておき、食品衛生責任者の資格を取ることから始めましょう。
コーヒー等の飲み物や軽食等を、製造せずに販売だけを行う形です。
販売店ですので、飲食店に必要な許可は不要です。
乳製品や鮮魚など、販売する商品によってはそれぞれの販売業許可を受けなければなりませんが、猫カフェで想定される飲食物(コーヒーや紅茶、サンドイッチや菓子パン等の軽食)は、この項目に該当しませんので、どこかに許可を申請をする必要がありません。
人件費削減や、手軽に始められる観点から、店舗内で既製品を販売し、猫と触れ合ってもらう猫カフェも増えてきました。
猫カフェに遊びに行く人は、お茶をする、というよりは、猫に会いにいくのが目的だと思われますので、こういった形態が成り立つのかもしれません。
ただし、どの形態でも、当然ながら衛生管理を徹底するように通告されます。
例えば、厨房に猫を入れないことや、販売食品置き場に猫を入れてない、など、工事の段階から考えていかなくてはなりません。
猫カフェは通常のカフェと違い、常時猫(動物)がいるお店です。
2012年の動物愛護法が改正された際に、ペットショップ等動物を展示販売するお店の営業時間は20時までとされました。
終始人間の目にさらされる動物たちのストレスを考えると、当然ですね。
では、猫カフェはどうでしょうか?
人間側からすると「触れ合える」猫カフェですが、猫たちからすると「触れられる」。
これも大変なストレスだと思います。しかし、お客さんに遊んでもらうことで、逆にストレス軽減も考えられます。
そういったところから、猫カフェの営業は22時まで営業をして良いとされています。
ただし、22時まで営業をするには、条件がきちんとあります。
この3つの要件が揃えば、22時まで営業できます。
例えば、最近よく見られる保護猫を働かせ(語弊はありますが)、相性が良い猫がいれば譲り受けられるという猫カフェでも、生後1年未満の子猫がいる場合は営業時間は20時までです。
猫カフェには、動物取扱責任者という人と、動物取扱業の登録が必要です。
動物取扱責任者になるには、特別な資格を取るようなことはなく、以下の3つのうちどれかを満たしていればいいとされています。
①営もうとする第一種動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること
②営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術について一年間以上教育する学 校法人その他の教育機関を卒業していること。
③公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること。
①は、猫カフェをしようとする人は、半年以上は猫カフェで勤務をしていること(アルバイトでも可)
②は、本格的な動物の専門学校で勉強し卒業すること
③は、民間が運営してる教育機関で勉強し、独自で運営している資格を取ること
これらのうちひとつでも条件を満たしていれば、「動物取扱責任者」になれるのです。
②③のようなところに行かなくても、猫カフェで半年以上アルバイトをしていた実績があれば、特別な資格を取らなくてもいいので、①は一番手っ取り早い方法かもしれません。
動物取扱責任者として登録された人は、初回に研修を受けます。また年に一回は研修を受けなければなりません。
動物取扱責任者は、猫カフェを営業する上で必要な資格です。
その上で(猫カフェでなくても)、お店の収容人数が30人を超える場合には「防火管理者」を置く必要があります。甲種防火管理者と乙種防火管理者の2種類があります。
猫カフェは比較的店舗面積がそこまで大きくないと思われますので、この場合は乙種防火管理者の資格が必要です。
防火管理者になるためには必要な講習をほぼ1日かけて受講します。
費用は数千円~なので、比較的簡単に防火管理者にはなれますが、オープン前のばたばたしているときに、丸1日を講習で潰すことが意外と痛手になるかもしれません。
猫カフェをオープンしようと決めたら、すぐに講習の手続きを始めた方がいいでしょう。
各市区町村が申し込み窓口となっていますので、お店を営業する場所を管轄する役場に問い合わせをしてください。
猫カフェのオーナーですので、個人事業主となります。
その際には、税務署に「個人事業の開廃業届」を提出しなくてはなりません。
お店を管轄する税務署に、開業してから1ヶ月以内に届けを出してください。
開業前、開業後すぐは特に忙しいとは思いますが、各役所・税務署などへの届出は期限内にきちんと提出するようにしてください。
カフェと言いながら、ほぼドリンクだけで営業できる形態も選べるので、調理スタッフ等の人件費をカットできたりと、意外と人件費がかからないと想定できます。
ただし、猫の飼育は24時間年中無休です。猫カフェの定休日であっても、ご飯やトイレの掃除、お店=猫達の住処の整美・・・など、全くの休みがなくなります。
飼い猫1匹なら、ペットホテルや知り合いにお世話を頼むことはできますが、猫カフェともなると猫は数匹、十数匹。従業員を最小限に抑えたいのであれば、オーナーやその家族が休みなく働くことになります。
元々猫好きな方にとっては、猫のお世話等は苦でないかもしれませんが、数も多く延々と続く生活を送ることができるのかを想定しなくてはなりません。
また、猫の急病などにももちろん対応しなくてはなりませんので、人の目を置いておくことや駆けつけのシュミレーション等を常に行っておくことも必要です。
命を扱う、ということが徹底しているのであれば、猫カフェはとても夢に満ち溢れたお店になるでしょう。
保護猫を起用するならば、温かい寝床と清潔なご飯が与えられ、猫の幸福にも繋がるかもしれません。
猫カフェで猫と触れ合ったことで、魅力に気づく人間も増えるかもしれません。
人件費があまりかからない、必要な資格も少なくハードルもそんなに高くない、設備等の初期費用もそこまでかからずとも始めることができるのが猫カフェの特徴です。
営業なので利益ももちろん大事ですが、人間も猫もハッピーになれるような夢がいっぱい詰まったお店を、みなさんのアイディアで作っていけるといいですね。
以上、いかがでしたでしょうか。
今回は猫カフェ開業の為の流れと手続きを7つのポイントに分けて解説させて頂きました。
猫カフェは、通常の飲食店の開業とは勝手が違います。動物の「命」を扱う大事な仕事です。
法令遵守はもちろんのこと、猫を愛するあなたの気持ちを維持していけるだけの心の余裕も持っておきたいところです。
そのためには、収益もきちんと上げて、経営を安定させることが必要です。
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