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株式会社を設立して職業紹介業の許可を取るために押さえておきたい9つのポイント
職業紹介事業には、有料で職業紹介を行う「有料職業紹介事業」と無料で職業紹介を行う「無料職業紹介事業」の2種類あります。
その名の通り「有料」職業紹介事業は、求人募集企業に希望者を紹介して手数料や報酬を受ける事業です。「無料」職業紹介事業は、手数料や報酬を一切受けないで行う職業紹介事業です。
株式会社を設立して職業紹介事業を行うのであれば、有料で事業を行いますので、ここでは有料職業紹介事業について解説をいたします(無料職業紹介事業はハローワークなどが該当します)。
株式会社を設立するには、法定費用と呼ばれる実費がかかります。この実費は、どなたが手続きを行っても必ずかかる費用ですので、予め準備しておきましょう。
合計 約92,000円
公証役場で定款の認証を受けるための手数料は、5万円で定款に貼る印紙代は、電子定款にすると0円になりますので、電子定款では合計で約52,000円になります。
※電子定款に関して詳しくお知りになりたい方、電子定款を利用して費用を削減したい方は、こちらをご覧ください。→→電子定款認証代行ドットコム(弊社別サイトにジャンプします)
登録免許税は、「資本金の額✕1000分の7(0.7%)」の計算方法で算出されます。
ただし、資本金の額の0.7%がそのまま登録免許税になるのではなく、この額が15万円以下の場合は一律15万円に設定されています。
例えば、資本金200万円の会社を設立する場合の登録免許税は、「200万円✕0.7%=14,000円」ですので、自動的に15万円となります。
ちなみに資本金が2,000万円でも登録免許税は15万円ですので、一般的な中小企業であれば15万円かかると思ってよいでしょう。
有料職業紹介業の許可に必要な費用は、許可手数料と登録免許税があります。
1箇所の事業所で派遣事業を行う場合は合計14万円、事業所が2箇所ある場合は合計15万8,000円になります。
これらは申請時に申請先に納める手数料です。この他、資産に関する要件「財産基準」を満たす必要があります。
職業紹介業を始めるには、会社の代表者と役員について要件が定められています。
<代表者と役員の要件>
①下記欠格事由に該当しないこと
②貸金業、質屋営業を営む場合は、許可を受けて適正に業務を運営していること
③風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業など職業紹介事業との関係においてそぐわない事業を行っていないこと
④外国人の場合は、一定要件の在留資格を有すること
⑤住所・居所が一定しないなど生活根拠が不安定でないこと
⑥不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないこと
⑦公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのないこと
⑧虚偽の事実を告げるなど不正な方法で許可申請を行った者でないこと、許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと
⑨国外に職業紹介を行う場合は、相手先国の労働市場の状況や法制度を把握して、求人者や求職者と的確な意思の疎通を図ることができる能力を有する者であること
職業紹介業を始めるには、事業所ごとに1人「職業紹介責任者」を置かなければなりません。
職業紹介責任者になるには、以下に掲げる要件をすべて満たし、業務を適正に遂行する能力を有することが必要です。
<職業紹介責任者の要件>
①未成年者ではなく下記欠格事由に該当しないこと
②貸金業、質屋営業を営む場合は、許可を受けて適正に業務を運営していること
③風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業など職業紹介事業との関係においてそぐわない事業を行っていないこと
④外国人の場合は、一定要件の在留資格を有すること
⑤住所・居所が一定しないなど生活根拠が不安定でないこと
⑥不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないこと
⑦公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのないこと
⑧虚偽の事実を告げるなど不正な方法で許可申請を行った者でないこと、許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと
⑨国外に職業紹介を行う場合は、相手先国の労働市場の状況や法制度を把握して、求人者や求職者と的確な意思の疎通を図ることができる能力を有する者であること
⑩下記に該当し、労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者
これまでに許可の取消や罰金以上の罰則、破産暦がなければ、欠格要件に該当する可能性は低いでしょう。
また、⑩にあるように派遣元責任者は23歳以上の職業経験者で「職業紹介責任者講習」を許可申請前の5年以内に受講している必要があります。
日本人材派遣協会などの講習機関において、各地で実施されています。厚生労働省のホームページからも講習機関と受講日程が確認できますので、職業紹介責任者になる予定の人は、受講日程を確認しておきましょう。
職業紹介業を始めるには、事業所を設けなければなりません。
単に事業所を借りればいいだけではなく、職業紹介事業を行うのに適切な環境であることが求められています。
①風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するような地域でないこと
②個室の設置、パーティション等での区分により、求人者等のプライバシーを保護しつつ対応することが可能であること
上記に代えて、予約制や近隣の貸部屋の確保等により、他の求人者等と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置を講じていること、または、事業所の面積がおおむね 20 ㎡以上であることでも可能。
③事業所名は職業安定機関や公的機関と誤認されるものでないこと
職業紹介事業の許可を申請後、労働局による事業所の実地調査が行われます。
事業所を借りる際には、適切な事業所として要件を満たすかどうか確認をしてから借りるようにしましょう。
職業紹介業を始めるにあたっては、一定の財産要件が定められています。
直近の決算において、以下の2つの要件を満たす必要があります。
<財産的基礎>
① 基準資産額が500万円×事業所数以上あること
※基準資産額=資産総額-(負債総額-繰延資産+営業権)
② 会社名義の現金・預金の額が150万円×(事業所数-1×60万円)以上あること
※事業所が2箇所以上であれば、1事業所につき60万円を加えた額
上記の財産的基礎の確認方法は、納税証明書の「所得金額」と納税申告書の別表第1の1欄「所得金額又は欠損金額」及び別表第4の46欄「所得金額又は欠損金額」、別表1欄「当期利益又は当期欠損の額」と貸借対照表の「当期利益(損失)」と損益計算書の「当期利益(損失)」とをそれぞれ照合して、算定されます。
有料職業紹介事業の許可申請を行うには、会社の定款と登記事項証明書(登記簿謄本)の目的に「有料職業紹介事業を行う」旨の記載が必要です。
目的の他の項目から有料職業紹介事業を行うと解釈できる文言がある場合は、「有料職業紹介事業」と明示的な記載は必要ないとされていますが、許可を申請するのであれば、きちんと記載しておいたほうがよいでしょう。
発起人が作成した定款は、公証役場で公証人の認証を受けてはじめて効力が発生します。
公証役場は全国にありますが、管轄が決まっています。
具体的には、株式会社を設立する本店(事業所)の住所がある都道府県内の公証役場で認証を受けることになります。
例えば、東京都に本店を置くのであれば、東京都内の公証役場であればどこでも構いません。
<公証役場で定款認証に必要なもの>
公証役場には、原則発起人全員が出向かなければなりませんが、代理人に委任することもできます。
代理人の場合は、追加で下記の書類が必要になります。
法務局へ登記申請書類を提出した日が、株式会社の設立日です。
提出した日が会社の成立年月日として登記簿謄本に登記されます。
法務局には、定款と設立登記申請に必要な書類一式をまとめて提出しますので、事前にどのような書類が必要になるかを確認しておきましょう。
<法務局へ登記申請に必要な書類・取締役非設置会社例>
上記は、一般的な例で登記申請に必要な書類は、設立する会社によって異なります。
現物出資がある場合は上記の必要書類に加えて、下記の書類が必要になります。
最近では、インターネットから定款のひな型が無料で公開されていることも多いですが、その定款の記載内容によっても準備しなければならない書類が異なってきます。
多くの書類が必要になりますので、予め管轄の法務局で確認をとるようにしましょう。
職業紹介事業を始めるには、事業所の所在地を管轄している都道府県の労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。
許可の申請を行う都道府県労働局のホームページから申請様式がダウンロードできるようになっていますので、事前に申請先窓口へ確認しましょう。
株式会社を設立するには、余裕をもったスケジュールを組むことが大事です。
株式会社の設立日は、法務局へ登記申請を行った日(申請書類一式を提出した日)になります。
とは言っても、役所なので平日しか登記申請を行えません。もし設立希望日があれば、その日に間に合うように余裕をもったスケジュールを組みましょう。
公証役場での定款認証手続きは予約制ですし、法務局は商業登記を行っている本局等へ出向くことになります。
効率的に進めるにはどのような作業が必要なのかを把握しておく必要があります。
全てご自身で手続きを行うのであれば、会社設立までの期間を2~3週間みておくとよいでしょう。
専門家に全ての手続きを依頼すれば最短で1日、遅くとも1週間程度で設立申請まで行うことができます。
労働局へ申請書類を提出した後、労働局において申請内容の確認、事業所の現地調査が行われます。
その後、厚生労働省における審査、労働政策審議会の意見聴取等の手続きを経て、許可がおります。
申請のタイミングにもよりますが、許可申請から許可までの期間は最短でも2ヶ月、概ね3ヶ月は必要だと思ったほうがよいでしょう。
【例】4月許可申請⇒7月1日付許可(7月1日事業開始)
職業紹介事業を始めるには、様々な許可基準が設けられています。
その中には職業紹介事業の申請者が適正に事業を遂行するための「事業運営に関する要件」が定められています。
<事業運営に関する要件>
有料職業紹介事業は、紹介手数料を求人募集企業から受け取ることができます。
一部の例外を除き求職者から手数料を受けることはできません。
この職業紹介に係る手数料は、職業安定法で定める手数料(受付手数料、上限制手数料、届出制手数料、求職者手数、常用目的紹介に係る手数料)の他は、どのような名目であっても受けてはならないとされています。
従って、受け取る手数料を明確にした手数料表を作成しておかなければなりません。
この手数料表のひな型も都道府県労働局のホームページから申請様式がダウンロードできるようになっていますので、確認しておきましょう。
労働者派遣事業の許可の有効期間は、許可の日から3年間職業紹介事業と人材派遣業(労働者派遣事業)は、言葉が似通っているため、これらの違いが理解しにくいかもしれません。
職業紹介事業は、転職を希望している求職者に対し求人募集企業を紹介して、雇用契約が成立すれば求人募集企業から手数料を徴収するシステムです。
求職者と求人募集企業の間にはいって、両者をうまく取り持つ斡旋事業を行います。従って、求職者と求人募集企業の間で雇用契約が成立すれば、職業紹介事業者の役割は終了します。
このため、職業紹介事業は、民間のハローワークともいわれています。
一方、人材派遣業は、自社で雇用している労働者を求人募集企業へ紹介し、派遣します。派遣期間が終了するまで求人募集企業は労働者に指示や命令を出しますが、派遣された労働者と求人募集企業の間に雇用関係はありません。
職業紹介事業は就職先の紹介、人材派遣業は働き先企業の紹介を行います。
職業紹介事業の許可の有効期間は、新規許可の日から3年間です。
更新した後の有効期間は5年間となり、以後は5年ごとに繰り返されます。
許可の更新にあたっては、有効期限の3ヶ月前までに更新申請が必要です。許可更新の要件は、許可申請のときの基準と同じですが、財産的基礎は「基準資産額が350万円×事業所数以上あること」と緩和されています。
更新手続きをせず有効期間が満了したときは、許可が更新されませんので注意してください。
職業紹介事業の許可を受けるには、開業前の段階から財産的要件や人的要件を把握しておくことが大切です。
許可がおりるまでには2ヶ月以上みる必要がありますので、事業開始予定時期の概ね3ヶ月前までには行わなくてはなりません。
計画的に進めるためには、予め労働局へ相談することが大事です。事業の開始日が決まっているのであれば、専門家に依頼することも検討しましょう。
職業紹介事業の手続きに精通している社会保険労務士に依頼すれば、大幅に手間を省略できるだけではなく、成功率も高まります。確実に許可を取得することができるでしょう。
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※司法書士報酬(設立登記申請書類作成・提出代行)代金込み。
※定款認証手数料については、設立する会社の資本金等の額に応じ、100万円未満の場合は約30,000円、100万円以上300万円未満の場合は約40,000円、その他の場合は約50,000円となります。
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